<女子ゴルフ:LPGA新人戦加賀電子カップ>◇最終日◇12日◇千葉・グレートアイランドC(6438ヤード、パー72)◇賞金総額600万円(優勝108万円)

 日系米国人の平野ジェニファー(24)が逃げ切り勝ちした。2位に3打差の首位から出て、4バーディー、2ボギーの70で回り、通算5アンダーの139。この優勝で賞金108万円と、来季ツアー開幕戦の出場権を獲得した。

 平野は終盤に力強さを見せた。混戦にも「自分のことだけ考えていた」と、16番ではカップ横1メートルにつける快ショット。難関18番では残り148ヤードの第2打をピン右3メートルにつけ、これを難なく沈めて突き放す。前半は緊張で2ボギーも、11番で3メートルを沈めて「リラックスできた」と、後半は4バーディーだ。

 優勝会見で心境を尋ねられ、「おなかすいた~!」と叫んで笑いを誘った。5月のデビュー時には日本語は話せなかったが、この日は同組の堀と「何歳なの?」「好きな食べ物は?」などと話すまでに。好物は刺し身とうなぎで、うな重もうなぎだけ食べてしまう。5番では空腹感に襲われ、「食べ物のことで頭がいっぱいに」。食欲旺盛、育ち盛りのような24歳だ。

 大叔母マサコ・カツラさんがビリヤードでは女性の第一人者で、母サンドラさんによると「プレー中はクールでハッピーな表情なところがよく似ている」。本大会の歴代優勝者には不動裕理、横峯さくら、上田桃子、森田理香子と歴代賞金女王の名が並ぶが、「自分らしいプレーをしたい。賞金女王は考えない」。愛らしい笑顔の中にも、心の強さをうかがわせた。【岡田美奈】

 ◆平野(ひらの)ジェニファー

 1990年5月7日、米カリフォルニア州生まれ。母は日系2世、父は日系4世。9歳でゴルフを始め、12年マイアミ大卒、「移動も少なくて済むから」との勧めで日本でプロになるため来日。今季ツアー5試合出場で日医工女子30位が最高位、ヨネックス・レディースでは第1日首位も49位に。下部ツアーで6月に1勝。7月プロテスト合格。160センチ、47キロ。