<米男子ゴルフ:現代自動車チャンピオンズ大会>◇最終日◇12日◇ハワイ州カパルア、プランテーション・コース(パー73)

 米ツアー2勝目を狙った松山英樹(22=LEXUS)は、悔しい1打差3位に終わった。首位タイから出て、3バーディー、ノーボギーの70で通算20アンダー272。18番パー5で、入れればプレーオフ進出となる2メートルのバーディーパットを決め切れなかった。同時に、満足なショットが打てない中でも優勝争いを演じ、次戦ソニー・オープン(15日から)以降に期待がかかる新年初戦だった。優勝はパトリック・リード(米国)でツアー4勝目を挙げた。

 入れればリード、ウォーカーとのプレーオフに進めるバーディーパットは、無情にもカップ左をすり抜けた。松山は天を仰ぎ、一瞬顔を覆い、キャディーと目を合わせた。「パットがもう少し入ってくれたら…」「勝てなかったので、悔しいです」。絞り出すようにテレビインタビューに答えると、その後は悔しさに耐えるかのように、応援してくれたファンへ、黙々とサインを書き続けた。

 再び報道陣の前に出るべく、気持ちを落ち着けるのにさらに20分間、ロッカー室の中で費やした。パットについて「悪くなかったけど、途中から入らなくなった」と振り返る。12番で2・5メートル、首位ウォーカーに1打差と迫った直後の16番では4メートル、17番では7メートル、そして18番の2メートルと、ことごとく外れた。

 「でも、それなりに回れたし、崩れることなくホールアウトできたと思う」。前向きになれる材料もあった。この日はウッド系は右へ、アイアンは左へと、ショットは「一発もいいスイングがなかった」という出来だった。そんな中でも、優勝争いを演じ、最後まで勝機を探り続けた。305ヤードと短い14番パー4では、前日までの刻みではなく、ドライバーで攻めた。ここでウォーカーがミスをし、直後の15番でバーディーを奪って1打差に迫り、流れを引き寄せていた。

 前日には精神面を鍵に挙げていたが、「普通にできました」と過度の緊張とも無縁。淡々とプレーする姿は、ライバルたちには不気味だったはずだ。

 これで賞金ランクと来季のシード権に関わるポイントランクは10位に、世界ランクは15位に浮上した。渡米前には今年の日本ツアーにはメンバー登録せず、米ツアーに集中したい旨を明かしたばかり。その覚悟と意地を、いきなり初戦で示した形だ。

 最後は「(優勝争いを)何回も何回もしていくうちに慣れていくと思う。そういうことは大事」と、自分に言い聞かせるように言った。初優勝の昨年メモリアル・トーナメントは、首位から出て逆転されたクラウンプラザ招待の翌週だった。この日の悔しさも必ず勝利につながるはずだ。