<米男子ゴルフ:フェニックス・オープン>◇第3日◇1月31日◇アリゾナ州TPCスコッツデール(7261ヤード、パー71)◇賞金総額630万ドル(約7億5600万円)優勝113万4000ドル(約1億3600万円)

 松山英樹(22=LEXUS)が2勝目に向けて猛チャージだ。4連続を含む8バーディー、ノーボギーで米ツアー自己ベストの63をマーク。通算10アンダー203で、27位から首位に3打差の2位に急浮上した。1打差及ばすプレーオフ進出を逃し、3位に甘んじた現代自動車チャンピオン大会から3週間、再び優勝のチャンスを手繰り寄せた。

 松山が米ツアー屈指の名物ホールで魅せた。ホール全体をぐるりとギャラリースタンドが囲み、約2万人が見守る16番パー3。実測134ヤードをロフト角50度のウエッジで打つと、球はピン右上2メートルに落ち、バックスピンでカップをかすめて手前1メートルに。もう少しでホールインワンというスーパーショットに、耳をつんざくような大歓声がわき上がった。松山は照れくさそうに笑って、手を振った。

 「入っていたら大盛り上がりでしたよね。残念ですね」と言いつつも、表情は明るい。直前の15番パー5では池越えの残り265ヤードから2番アイアンで2オンさせてバーディー。17番は第2打を1・5メートルに寄せ、18番では5メートルのパットを沈めて4連続バーディーで締めくくった。

 63は昨年クラウンプラザ招待第3日の64を上回る自己ベストで、同時に今大会のベストスコアだ。「昨日のようなミスが減って、チャンスについた時、決められた」。前日は前半イン40も後半アウト31と盛り返し、その勢いはこの日も続いた。順位も一気に2位に浮上し、米メディアの公式会見にも呼ばれた。「終盤のバーディーでどれが一番よかった?」の質問に、通訳を通して「16番。みんなをわかせることができたから」と堂々と答えた。

 昨年の大会最終日、首位に1打差で迎えた16番でボギーをたたき、流れを手放して2打差4位に終わった。そんなキーホールを、昨年と今年と通算7回目の挑戦で初めて攻略し、バーディーを取れたのは大きい。

 現代自動車チャンピオン大会に続き、今年2度目の最終日最終組になる。「緊張すると思うので、それでも崩れないように」。昨年のメモリアル・トーナメントに続く、米ツアー2勝目へ。「しっかり(首位に)追いついて、残り3ホールくらいで勝てる感じであれば、勝負をかけていきたい」。やはり16番が鍵を握りそうだ。

 ◆昨年の大会VTR

 松山は左手故障からの復帰2戦目で、第1日66で首位に2打差の10位発進。第2日は67で3打差5位、第3日は68で3打差3位と安定したゴルフを重ねた。最終日は13番のバーディーで首位に1打差に迫ったが、14番で4メートル、15番で5メートルのバーディーパットが決まらず、「これが16番につながった」。16番で3メートルのパーパットを外し、17番では2メートルのバーディーパットがカップに蹴られ、2打差4位に。優勝は通算16アンダーのK・スタドラー。

 ◆松山と優勝を争うライバルたち

 首位から5打差に16人がひしめく。首位レアドは通算3勝の中堅、今季開幕戦で10位になっている。2位Z・ジョンソンは07年マスターズ覇者で通算11勝。5位には世界アマランク3位のラーム。8位B・ワトソンはマスターズ2勝の飛ばし屋レフティーで昨年大会2位と、雪辱を狙う手ごわい相手。同じ8位にはメジャー2勝で45歳のカブレラ、この日の16番でホールインワンしたモリナリ、今季1勝を挙げて好調なムーアやストレブも。