トヨタ自動車の子会社「富士スピードウェイ」(静岡県小山町)は7日、東京都内で記者会見し、経営環境悪化のため自動車レースのF1シリーズ、日本グランプリ(GP)の2010年以降の同レース場での開催を中止すると正式発表した。

 富士スピードウェイは中止の理由を「世界的不況に伴う経営環境の悪化などから、F1レースの開催継続は企業存続の観点からも極めて困難との結論に至った」と説明。加藤裕明社長は記者会見で「国内レースのお客さんは激減している。スポンサーがつかないのもあるが、会社の努力不足は責められてしかるべき」と沈痛な表情で話した。

 自動車不況の影響で、昨年12月にはホンダがF1撤退を発表。富士重工業は世界ラリー選手権(WRC)、三菱自動車もダカール・ラリーからの撤退を決めるなど近年、モータースポーツ界を取り巻く環境は厳しい。

 トヨタ自動車は10年3月期に2年連続の巨額赤字を見込んでおり、F1開催中止はコスト削減が主な目的。02年から開始したチームのF1シリーズへの参戦は継続する。

 富士スピードウェイでは1976、77年にF1が行われ、07年に30年ぶりに開催。昨年もレースを行った。今年の日本GPは鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で催される。富士スピードウェイでは来年から隔年開催される予定だったが、中止を決めたことで10年の開催地は未定となった。