【ミラノ=高場泉穂】平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)男子銀メダルの宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が右足甲の故障を抱えたまま、強行出場することになった。五輪後に新調した靴がなじまず、20日の公式練習で痛みを悪化。男子ショートプログラム(SP)前日練習では負担を軽減するため、4回転2本の構成を1本に変更した。さいたま市で開催される次回大会の日本男子3枠確保に影響が及ぶことは避けられない。

 宇野は右足をやや引きずりながら練習会場に現れた。曲に合わせた練習では4回転トーループ、3回転サルコー3回転トーループの連続技、トリプルアクセル(3回転半)の構成で実施。4回転ジャンプを2本から1本に減らし、さらに冒頭の4回転フリップを4回転トーループに変更した。従来の基礎点より8・49点も低い構成。右足甲への負担軽減は明らかだった。

 異変は20日の公式練習で起きた。平昌五輪後に新調したスケート靴が足になじまず、大会前から「間に合わせられなかった。自分の失敗」と右足甲に違和感があった。日本スケート連盟の小林強化部長は「痛みは靴を替えた時からずっとあった」と説明。それがここにきて悪化した。練習を5分で切り上げ、背負われて帰りのバスに乗り込む際は報道陣に「大丈夫でーす」と話した。その後、夜に病院で検査をしたところ、骨に異常はなかった。痛みはあるが、本人は「出たい」と出場の意思を示した。アイシングを続け、大会には痛み止めを服用して臨む。

 4種類跳べる4回転ジャンプのうち、跳ぶのは最も基礎点の低いトーループのみの構成で本番に臨むことになりそうだ。平昌五輪金メダルの羽生や、銅のフェルナンデス(スペイン)が不在の今大会で宇野は優勝筆頭候補だが、厳しい戦いが予想される。宇野は男子SPの抽選後、笑顔で「大丈夫です」とだけ話した。

 来年、地元日本で行われる世界選手権の最大3枠確保への影響も必至だ。田中刑事(倉敷芸術科学大大学院)友野一希(同大)を含めた3人のうち、上位2人の順位合計が13以内なら3枠、14~28で2枠、29以上で1枠。小林強化部長は、宇野の状態を心配しながらも「頑張ってやってもらいたい」と望みをかけた。