日本相撲協会は2日午前、東京・両国国技館で理事会を開き、大麻取締法違反容疑で逮捕された十両力士、若麒麟真一(本名鈴川真一)容疑者(25)を解雇することを決めた。昨年大麻問題を起こしたロシア出身力士3人と同様の処分となった。

 信用回復のため角界が再発防止に取り組む中で逮捕された若麒麟容疑者の場合は、退職金も支払われない最も重い処分の除名も考えられた。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は記者会見で「除名を求める声もあったが、25歳と若いし、第2の人生を考えればかわいそうという意見もあって解雇にした」と説明した。

 理事会はまた、若麒麟容疑者の師匠、尾車親方(元大関琴風)を指導が不十分だったとして委員から平年寄へ2階級降格を決定。武蔵川理事長には処分を科さなかった。

 解雇の場合、相撲協会は退職金の支払いを若麒麟容疑者から請求された場合に拒否できない。約500万円とみられる退職金を支払うことになれば、相撲協会が批判の対象になりそうだ。

 尾車親方は1月31日、日本相撲協会に同容疑者の引退届を提出。相撲協会は協会独自の処分を科すために、これをいったん保留扱いとした上で受理しなかった。

 若麒麟容疑者は1月30日に乾燥大麻を東京・六本木の音楽CD販売店事務所で隠し持っていたとして現行犯逮捕され、1日に送検された。現在も神奈川県警で取り調べを受けている。