元横綱大鵬の納谷幸喜氏(69)が7日、70台目の血液運搬車「大鵬号」を東京・港区の日本赤十字社に寄贈した。

 横綱時代に巡業で各地を回っていた納谷氏は、献血運搬車が全国的に不足していると聞き、ファンへの恩返しのため、1969年(昭44)から寄贈を始めた。40年の月日が経ち、節目の台数を迎えたことから今回が最後の寄贈になり、納谷氏は「ファンの協力があったからこそできたことで、私1人ではできなかった。このような節目を迎えて感無量。泣きだしたい思いです。今後も寄付は続けていきます」などと万感の思いを込めて話した。

 運搬車はこれまでに全都道府県の赤十字血液センターに贈られ、総走行距離は地球165周分に相当する約658万キロ。寄贈にあたって、納谷氏は「大鵬」のロゴの入った慈善浴衣の収益金やポケットマネーをあててきた。総額約1億2000万円。相撲界を代表しての社会貢献だが、「けいこ不足」と批判されている現役の力士に向けては「ファンにいい相撲を見せること。そのためにけいこに励む。それが仕事なんですから」とメッセージを送った。

 4日の横綱審議委員会けいこ総見では、白鵬、朝青龍の両横綱らがけいこ不足を露呈し、横審の内館牧子委員らが「最低。不愉快」と痛烈な批判の言葉を並べた。一方、人一倍けいこを積み、史上最多32回優勝の記録を持つ納谷氏はこれまでも「横綱は下の者以上にけいこするべき。それが自分のためであり、相撲界全体のため」と主張してきた。相撲界の巨星が貫いてきた姿勢と言葉を現役力士はどう受け止めるか。