<大相撲春場所>◇8日目◇18日◇大阪府立体育会館

 横綱白鵬(27=宮城野)が、また金字塔を打ち立てた。西前頭3枚目の栃ノ心(24)を寄り切って中日での勝ち越し。7場所連続の初日から8連勝は、元横綱玉の海を抜いて歴代単独1位の記録となった。関脇鶴竜(26)に土がついたため、ただ1人の全勝。通算22回目の優勝へ突き進む。

 横綱がまた、指定席とも言える単独トップに立った。「またって言わないでよ。先場所は違うし、いつもそうじゃない」。ちゃめっ気も交える余裕が、横綱の風格をより漂わせた。

 前日7日目から左足首には塗り薬をほどこし、テーピングをして土俵に上がった。「今頃気づいたの。大丈夫だ」というが、違和感があったのは間違いない。さらにこの日、今場所中初めて朝稽古を休んだ。不安要素がないわけではないが、それを吹き飛ばすような取組内容だった。

 得意の右四つから左上手も引いて、万全の寄り。栃ノ心には12戦全勝とした。「とりあえず勝ち越すつもりで、いい相撲を取りたかった」。7場所連続の中日勝ち越しは、第51代横綱玉の海を上回る新記録。「へー、そんな記録あるんだ。誰と並んだの?

 1位なの?

 ああそう」。三段目の時に後援会関係者と玉の海の墓参りに行った。土俵入りも同じ不知火型。ただそんな話題には触れず、通過点と言わんばかりだ。

 今年は日本とモンゴルとの外交関係樹立40周年。それを記念した映画を、白鵬が“プロデュース”することがこのほど決まった。ノンフィクション小説「モンゴル野球青春記」の映画化で、今夏にクランクアップ。白鵬は夏場所後に帰国し、子役のオーディションなどを行う予定だ。さらに母国に橋の建設が計画進行中。モンゴルのバトボルド首相にも報告済みで「いろいろ検討している」。まさに両国の架け橋役だ。

 ストレート給金もこれで通算22場所となり、元横綱大鵬と並ぶ歴代3位に浮上。下位に対する取りこぼしは驚異的に少ない。「1番1番。まあ、当たり前のことが大事だ」。朝青龍の引退で2年前の春場所に1人横綱となって以来、2場所連続でのV逸はまだない。把瑠都の綱とりが話題の場所で、横綱が淡々と賜杯争いの先頭に立った。【大池和幸】