日刊スポーツのサイトで高原寿夫編集委員が独断と偏見? で随時、展開しているコラム「高原のねごと」をお届けします。
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サッカーW杯は注目のチュニジア戦です。普段サッカーにさほど興味がなくともW杯は別、多くの人が熱視線を送るでしょう。阪神とサッカーでどうしても思い出すのは闘将・星野仙一氏の「ベッカムがなんぼのもんじゃい」発言です。
03年8月5日。レアル・マドリードとFC東京の試合が国立競技場で開催されました。当時、レアルには人気絶頂のデビット・ベッカムが所属。同競技場の周辺は人、人で代表戦レベルの盛り上がりでした。
同日、お隣の神宮球場でヤクルトと阪神のナイターが予定されていました。当日、朝。都内のホテルで我々、スポーツ紙の虎番キャップは星野氏を囲む“お茶会”に臨んでいました。
そこで誰か(私だったかも)が口走りました。「ベッカム、ベッカムで今日は阪神は注目されないかもですね」-。すると闘将が言い放ったのです。
「ベッカムがなんぼのもんじゃい! ウチにも男前はおるぞ! 赤星とか、藤本とか!」
勢いにびっくりしましたが「なるほど」などとその場を収めたものです。その日のヤクルト戦は雨天中止になり、その発言で関西のスポーツ紙は1面を飾ることになりました。
当時、闘将にはサッカーに複雑な思いがあったようです。阪神監督1年目だった02年はW杯日韓大会の年。プロ野球は中断を挟む変則日程になりました。開幕から好調だった阪神は、それだけが理由ではないですが、徐々に調子を落とし、4位に。闘将には「普段のシーズンなら」と言う思いがあった様子でした。
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あれから23年。横浜スタジアムのDeNA戦が雨天中止になった20日、今は総合コーチを務める藤本敦士氏と少し話しました。そこで「ベッカム発言」をどう思ったのか聞くことに。
すると「そんなんあったんですか?」。当時は東京滞在だったので西の紙面は見られないし、ネット時代でもありません。今まで知らなかったようなのです。
「当時は全然、余裕がなかったですよ。(星野)監督も機嫌がよかったからそんなこと言ったんでしょうけど…」。常に緊張感を持っていた思い出を話してくれました。
あれから阪神は常に優勝を争えるチームに変身。周囲がどうあれ、選手が油断できないのは今も同じでしょう。横浜の雨空を見上げつつ、昔話を思い出していたのです。
【編集委員・高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)




