ロッテの高卒2年目右腕・坂井遼投手(20=関東第一)をはじめてファームの試合で見ることができた。高校の後輩のナイスピッチングに、予想外の裏付けデータを知ることができた。
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久しぶりに見る若い投手のボールというのは、とても新鮮に映るものだ。それが、母校の後輩であるならばなおさらで、フラットな視線で見ようと思いつつも、ついついポジティブな気持ちになってしまう。
関東第一の坂井が24年のドラフト4位でロッテに入団し、いつかそのボールを見たいと思っていた。だが、なかなか巡り合わせが悪く、その機会に恵まれなかったのだが、ようやくチャンスが訪れた。14日、鎌ケ谷に出向くと、坂井の姿を見かけた。
となると、どうしても声をかけたくなってしまう。これも先輩としての習性ということなのだろう。初対面という意味では、人見知りの私としては多少の戸惑いを覚えるものだが、かわいい後輩だと思うと、おのずとベンチに足が向く。
当然、46歳も違うのだから私の現役時代を知るはずもない。いきなりあいさつを受けても、きょとんとしているのが手に取るように分かる。私は一昨年の夏の甲子園大会決勝のマウンドを固唾(かたず)をのんでテレビ観戦していた。残念ながら京都国際との熱戦の末に延長タイブレークで惜敗した。
そんなこともあったなと思いながら短く会話を交わし、席で登板のチャンスがあるのか気にしていた。すると、幸運なことに中継ぎとして登場。1イニング、11球で打者4人に対して無安打、無四球、無失点だった。失策で走者は出したものの、投球そのものは非常に力強く、客観的に見ればまずまず、先輩の立場として言わせていただくならば、ほっとするような、ややうれしくなるような内容だった。
最速149キロ。まだ2年目で、下半身を見る以上、まだまだプロの投手の体はこれからという印象を受けた。その割に、149キロという球速と、打者の手元での迫力に、いい意味でのギャップを感じた。速く感じる。参考までに、そばにいた他球団の編成担当に感想を聞いてみた。
ひいき目に感じたままで解説するのはアンフェアだろうと、感じたからだ。だが、数人に聞いてみたのだが、一様に球威を感じるという意見に、ちょっとほっとした。となると、なぜそう見えるのかとデータが気になったが、その答えはすぐにわかった。
回転数が2420回転という数値を示していた。プロのレベルであれば、およそ2200回転から2300回転がアベレージだと認識しているが、さらに100回転以上を記録している。球速も回転数も、データとしては体感する球威を補完するものになる。回転数が多いほど、スピンがかかり打者の手元での減速が感じづらくなる。
そういう条件を加味した時、坂井のボールがベース板近くで伸びがあるように見えることのひとつの説明になる気がした。それでも、いかに回転数が高かろうが、それだけでプロの打者から空振りが奪えるというほど簡単なものでもない。そこは、投球フォームと、腕の振り、そしてここが肝心だが、内外角を投げ分ける制球と、変化球とのコンビネーション、そして緩急という総合力は絶対に必要になる。
坂井はこの日11球を投げて、真っすぐでの空振りが1球、ファウル1球だった。ヒットゾーンに運ばれていないことから、現時点での坂井の真っすぐは、まずまず通用していると言える。ピッチングの組み立ての中で、場面によっては空振りも期待できる。149キロで、そういう潜在力を秘めていることは前向きに感じた。
また、スライダーの曲がりが大きく、これはひとつの武器になる。明瀬がスライダーをスイングしていたが、バットの先での打球となって一ゴロ(失策)。私の目にはスライダーを狙っていたように感じた。それで、芯を外されていたことからすると、スイング軌道の中で、うまく横に滑るように変化しているのだろう。
いいボールを投げているな、というのが第一印象だったが、データを見ながら考えるに、やや厳しめに見ても今後の成長が楽しみな右腕であると言える。右打者には、回転数豊富な真っすぐと、スライダーが有効になるだろう。
では、左打者にはどうかと言えば、この日は投げなかったがチェンジアップがひとつの鍵を握りそうだ。とは言え、やはり今のプロのレベルからすれば、左打者に対してもフォークもあるとピッチングの幅が広がる。右打者にも左打者にも、フォークは有効になり得る。そうした意味でも、フォークの習得を含めて、球種は今後の課題に映った。
マウンドでの立ち姿と、投球する時の雰囲気に、投げっぷりの良さという生きの良さを感じた。ここらへんの感想は、まったくもって私の主観に基づくため、これは見た人によってさまざまだろうとは思う。
しっかり体重移動して、なるべく打者に近いところにリリースポイントを持っていこうという意識は感じられた。しっかり縫い目に指がかかっており、回転数が真っすぐに伸びを与えている。いきなり150キロ台後半のスピードが出ることはないだろうから、ここからしっかり下半身を鍛えて、さらにフォームを磨いてほしい。
ただ球速アップだけを求めるのではなく、空振りが奪える真っすぐというものを、クオリティーを念頭に、しっかり着実に追い求めてほしい。(日刊スポーツ評論家)





