「3連敗なんか絶対あかんから。それは大きいよ」-。逆転勝利を振り返り、指揮官・岡田彰布はそう言った。虎党の思いもまったく同じだろう。ここで最下位ヤクルトにスイープなど食らっていれば目も当てられないところ。スカッとする今季19度目の逆転勝利で広島、巨人との対決を前に弾みをつけた阪神である。
4回に出た森下翔太の同点弾は派手だった。同様に大きかったのは前川右京の勝ち越し適時打だと思う。その前に佐藤輝明の目を見張る好走塁が出て、1死三塁。犠飛でもなんでも勝ち越したいところで左前へシブくはじきかえした。
「ああいうのが大きいよ。どんな当たりであろうとな。内容じゃないやん、もう」。岡田もそう評価したのである。ある意味、前川は今季、もっとも岡田を喜ばせている選手の1人と言っていいかもしれない。
「前川を使えるの大きいよ」。少し前、岡田はボソッと話していた。成長を喜んでいるのは言うまでもないが4番・佐藤輝、5番・大山に組み替えた理由の1つが前川でもあるからだ。「ジグザグ(打線)組めるやろ」。3番・森下から右→左→右→左と並ぶ状況をそう歓迎している。
これで後半戦、9勝3敗と好調の阪神だが、なかなか上位との差は縮まらない。それもそのはず、首位にいる広島が強いのだ。広島は後半戦、8勝3敗1分け。阪神が怒濤(どとう)の8連勝を含む快進撃を続けている間もほとんど負けていなかったのである。
この日、阪神が勝ち、広島は東京ドームで巨人に敗れた。「阪神○広島●」となるのは7月28日以来、実に11日ぶり。これで首位・広島から3位・阪神までが2ゲーム差にひしめく状況となった。巨人も含めて上位3球団の混戦はここに来ても続いている。
さあ、9日から首位を迎える京セラドーム大阪だ。広島はまず今季初先発の左腕・森翔平で立ててきた。最近の状況なら左翼スタメンは右打ちの野口恭佑だろう。だが、ここは好調な前川で勝負をかけるか。対左腕スタメンも過去にはあるにはあったが、これは1つの注目点だろう。
いずれにせよ今季を占う真夏の6連戦だ。お盆休みの時期に東京→大阪→東京の移動は続くものの、6試合を涼しいドーム球場で戦えるのは大きいはず。まずはセ・リーグで唯一負け越している広島との対戦成績を五分に戻すことからだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




