日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


ヨシネーのひとりごと

ヨシネーのひとりごと

◆保坂淑子(ほさか・よしこ) 秋田県生まれ。フリーライター、エディター。2017年まで、日刊スポーツ出版社刊「プロ野球ai」デスク、「輝け甲子園の星」の記者を務める。“ヨシネー”の愛称で連載を担当した。甲子園取材は2019年で春20回、夏25回。著書に「監督心」、「主将心」(実業之日本社)「東浜巨 野球日誌が語る22年」(小学館)など。

全国に吹け、美里工の新しい風

[2014年2月3日13時22分]

 1月下旬は、美里工(沖縄)にとってセンバツ出場の朗報とともに、もう1つ嬉しい話題がありました。それは、1月22日、国家資格である第一種、第二種電気工事士試験の合格発表で、昨年の80人を上回る88人が合格。うち33人が野球部の選手だったのです。第一種電気工事士の合格者の中にはキャプテンの高江洲大夢君の名前もありました。

第一種電気工事士試験のための講習を受けている高江洲大夢君

 そういえば、12月、美里工の取材に行ったとき、グラウンドにはキャプテンの高江洲君の姿はありませんでした。国家試験間近ということで、講習に参加していたのです。

第2種電気工事士はビルや一般住宅などの家屋配線などの電気工事を手掛ける資格。第1種電気工事士は、さらに大きい施設での配線ができるそうで、教室で講習を受ける高江洲君の目の前には図面とたくさんの工具。図面を書いて、専用の工具を使って電気の配線、圧着をしていく。う~ん、文系の私にとっては、チンプンカンプンです!?

 「一種は、二種よりも高圧の電気工事ができるので、電気を扱う仕事の幅が広がるんです。少しでも、将来の仕事に役立てばいい。工業高校で取得できる資格はしっか取っておきたいんです」と高江洲君は胸を張って話してくれました。

 『部活もやる! 資格もとる!』 美里工野球部にとっては、「文武両道」ならぬ、「文部両道」なのだそうです。

 「資格を取得していれば就職に苦労することはありませんからね。野球だけじゃない。勉強、資格取得にも力を入れています。できるだけ、1年生のうちに2種、1種の資格を取らせようとしています」(神谷監督)

 選手たちは、朝7時から、1時間半、早朝練習ならぬ「早朝講座」を受講。試験が近くなると、昼休みの50分のうち20分はマメテスト。夜は野球部の練習が終わった後、8時から9時までの講習で、試験の準備をします。

 「勉強も野球も両立しての合格には達成感があり、学校生活、部活動にも意欲が沸いてくるんですよ」(神谷監督)

 そういえば、今回の甲子園での星に掲載するための選手アンケートに、美里工の選手たちは、欄外に、それぞれが持っている国家資格を書いてくれました。自分をアピールできる資格がある。選手たちの字には、それぞれの自信と誇りを感じました。

 野球だけじゃない、チームとしての取り組み「国家資格をとって甲子園に行こう」。そのスローガン通り、国家資格を取った選手たちが甲子園出場を決めた美里工。

 「新しい取組みが少しずつ身になっている実感はあります。また、センバツ出場で学校も盛り上がっている。新しい風を感じますよ」と神谷監督。

 自信をもって挑む初めての甲子園。この春、美里工の風は、全国に吹き荒れるのでしょう。

輝け甲子園の星は2月1日発売

 さて、「輝け甲子園の星 早春号」の校了も無事に終わり、2月1日に発売になりました。今年のセンバツに出場する全チームの詳しい紹介、注目選手のインタビューと盛りだくさんです。全国書店で発売中。どうぞよろしくお願いします!

ヨシネーのひとりごとの最新記事





日刊スポーツ購読申し込み 日刊スポーツ映画大賞