西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県で13日、第100回全国高校野球選手権記念岡山大会が開幕した。倉敷マスカットスタジアムでの開会式では犠牲者に黙とうがささげられ、被災した球児たちもさまざまな思いを抱え、目を閉じた。

 昨夏、今春と2季連続で甲子園に出場したおかやま山陽には、倉敷市真備町地区から多くの生徒が通う。同地区は4分の1が水没し、50人もの犠牲者が出た。主将の井元将也内野手(3年)も自宅の1階天井あたりまで浸水。付近で6日夜に起こったアルミ工場の爆発では、家の窓ガラスも割れたという。今は総社市のいとこ宅から通学。被災後は3日間練習に行かず、家の片付けを手伝っていたが、両親から「野球に集中すればいいよ」と背中を押されて練習に復帰。「野球をしてもいいのか、分からない状況だったので、させてもらえて感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。

 小川皓大(こうた)捕手(3年)は、自宅の2階部分までほぼ浸水した。一時は両親と車内で夜を明かした。水が引いた後の家からは、泥まみれになったユニホームが見つかり、グラブなど野球道具も水没していた。「正直つらいというか、仕方ないですけど。野球をやらせてもらっているので、一生懸命やるしかない」と思いを口にした。

 堤尚彦監督(46)は選手たちに「野球をしているどころではない」と話したという。野球部は11日と12日、真備町地区で土砂やがれき撤去の復旧作業に参加。初戦の岡山工戦が今日14日に迫る中、井元らベンチ入りメンバーも土砂やがれきと格闘した。今後勝ち進んでも、試合の合間をみて復旧作業を続ける予定。複雑な思いを抱え、3季連続聖地を目指す。【磯綾乃】