昨夏の甲子園で準優勝した金足農(秋田)ナインが2日、秋田市内の同校で行われた卒業式に出席した。

ドラフト1位で日本ハム入りしたエースの吉田輝星投手(18)らナインは前夜(1日)久しぶりに集合し、焼き肉店でさらなる飛躍を誓い合っての「決起会」を開催。プロ、就職、大学と進む道は違うが、「カナノウ旋風」を巻き起こしたヒーローたちが決意を新たにした。

<金足農ナインのコメントと進路など>

◆吉田輝星投手 「3年間を濃く過ごせたので、いい高校生活だった。もう卒業かと思うと寂しい」と感慨深げ。式典では「甲子園の時のバックスクリーンを思い出しながら歌っていました」と校歌を斉唱した。「プロと高校では(環境が)違ってきますけど、心の中では雑草魂というか、どれだけ踏まれても、立ち上がるという気持ちを忘れないようにしたい」。後輩から花束を贈られ、恩師らと記念撮影し、仲間との高校生活を笑顔で締めくくった。

◆菊地亮太捕手 吉田の150キロ超のストレートを受けてきた経験は一生の思い出だ。「もう一緒に野球が出来ないと思うと寂しいけれど、吉田にはもっとすごい投手になってほしい」。秋田県庁に内定し「出来れば硬式野球をクラブチームで続けたい」と希望した。

◆高橋佑輔一塁手 横浜戦での3ランを胸に、東農大北海道オホーツクで活躍を誓った。「吉田が自分たちを引き上げてくれた。負けていられません」。畜産学専攻の「生き物係」は豚や鶏ともお別れ。「寂しいけれど、充実した3年間でした」と北の大地に旅立つ。

◆菅原天空二塁手 イケメン学級委員長は代表で卒業証書を受け取った。「第2ボタンの予約は入っていません」と苦笑い。JR秋田に内定。すでに練習にも参加し「秋田に残るので引き続き地元を盛り上げたい」。大会記録にあと1本と迫る甲子園1大会3三塁打を放った俊足巧打でアピールする。吉田からは前夜に誕生日プレゼントとしてスポーツネックレスをもらった。「いつも隣にいてふざけあっていたのに、毎日テレビで出ている人になっちゃいましたね」。肩を組んで健闘を誓い合った。

◆打川和輝三塁手兼投手 東日本国際大でも勝負強い4番打者になる。「大学でもバッティングで勝負したい。3年間でつらいことも多かったけれど、仲間と良い思い出もたくさんできた」。今冬に体をさらに鍛え、パワーアップ。4年後のプロ入りにも挑む。

◆斎藤璃玖遊撃手 準々決勝の逆転サヨナラ2ランスクイズを決めたバント技術は、カナノウの象徴だった。「充実した高校生活でした。やはり、この野球部の仲間は最高です」。卒業後は地元米あきたこまちを、最高の形で食卓に届ける使命を担う企業に就職する。

◆佐々木大夢左翼手 バセドー病も乗り越え、主将の大役を果たした。「野球ではうれしいことばかり。甲子園が終わってからも支えてもらった仲間や家族に感謝。別れが寂しい」と目を潤ませた。大学進学を目指し、合格発表を待つ。「自信あります」とニヤリ。

◆大友朝陽中堅手 土木関連企業に就職し、クラブチーム「秋田ゴールデンリバース」で都市対抗出場に挑む。「侍ポーズ」を吉田と考案したが、「プロになってからは、ポーズはやめたほうがいい」と封印指令。大垣日大戦の勝ち越し弾は躍進の起爆剤だった。

◆菊地彪吾右翼手 八戸学院大でも、近江戦の2ランスクイズで二塁から生還した俊足を再現する。「1年から出場する気持ち。走塁だけでなく打撃も磨く」。前歯が抜けた状態で奮闘してきたが、先月に「変身」完了。吉田に負けない笑顔をトレードマークにする。