天理の中村良二監督(52)にとって、特別な1勝だった。昨年10月に人生の師と慕う橋本武徳総監督が他界。試合前日の19日、奈良・天理市内に眠る恩師の墓前で「しっかり見守ってください。選手たちの力を最大限、発揮させてあげてください」と伝えた。

橋本総監督は天理を86年夏の全国制覇に導いた指揮官で、当時、中村監督は同校主将だった。15年秋に監督に就任し17年夏に甲子園4強入りしたが、センバツはこの日が初采配。試合前、選手に「よくぞセンバツに出てくれた。俺にとってセンバツは初めて。それぞれの思いが当然あるだろう。さまざまな思いを持ってプレーするのはすごくいいけど、俺は俺で恩師の橋本先生に何とか1勝をささげたい。俺も全力で采配するから、お前たちもしっかり頑張ってくれ」と話した。

中村監督にとって忘れられないセンバツ初勝利を、教え子と一丸になって勝ち取った。試合後は恩師のもとに急ぎ、勝利を報告した。