<高校野球北北海道大会:白樺学園4-3女満別>◇22日◇準決勝

 北北海道決勝は06年決勝と同カード、遠軽と白樺学園の顔合わせになった。白樺学園は女満別に競り勝ち、3年ぶりの決勝進出を果たした。

 最後まで粘る女満別打線を、気迫でしのいだ。白樺学園のエース小林は、最後の打者を左飛に打ち取ると両腕を突き上げた。駆け寄った女房役の佐々木捕手とハイタッチし「ヨッシャー!」と叫んだ。「先制点を取られた後は、これ以上は点を取らせないように投げた」。8安打3失点も、失策絡みで自責点はゼロ。戸出直樹監督(35)は「エースナンバーを付けているだけあって、マウンドを譲らず投げ切ってくれた」とほめちぎった。

 北大会開幕前、背番号1はある誓いを立てていた。「自分1人で投げ切れればいい。そうすればチームは流れに乗っていける」。現実は甘くなかった。1回戦(対旭川南)は2死しか取れず、1回途中で川越にマウンドを渡した。準々決勝の旭川西戦は8回0封も9回に交代。だからこそ「気持ちで引かず、攻め込んでいきました」。125球に魂を込めて、チームを3年ぶりの決勝へ導いた。

 バックだけではない。献身的に支えてくれる控えの多田主将にも助けられた。投手に転向したのは、昨秋の十勝地区予選前。実戦経験が浅いため、チームリーダーには声でアシストされた。「(多田の)声を聞くと落ち着きます。大きな声で本当に良く聞こえるんですよ」。ここまで試合出場のない多田は、声でチームを鼓舞するのが「自分の仕事」と裏方に徹している。そんな主将の思いに小林が応え、5年ぶりの聖地が目前に迫った。「ここで浮かれず、気を引き締めていきたい」。力強く、言った。【木下大輔】