メジャーリーグは今オフ、監督交代が続出している。交代が決まったのはナショナルズ、フィリーズ、メッツ、レッドソックス、タイガース、ヤンキースと6球団あり、このうちメッツ、レッドソックス、タイガースの3球団はすでに新監督が決まった。メッツは7年間務めたテリー・コリンズ監督に代わって、今季までインディアンスの投手コーチを務めたミッキー・キャラウエイ氏、レッドソックスは5年間務めたジョン・ファーレル監督に代わって今季アストロズのベンチ・コーチだったアレックス・コーラ氏、タイガースは4年間務めたブラッド・オースマス監督に代わり2014年までツインズで13年間監督を務め今季ダイヤモンドバックスのベンチ・コーチだったロン・ガーデンハイアー氏だ。60歳の大ベテラン監督であるガーデンハイアー氏は例外だが、近年は監督経験のない若い人材をいきなり登用するケースが多く、キャラウエイ氏やコーラ氏の就任もその流れに沿っている。こうした流れは、最近のメジャーの監督に求められているものが、以前と様変わりしたことを示している。

 今、監督に最も求められていることの1つとされているのは、まず分析データの活用能力だ。分析データとはつまりフロントが扱っているものであり、それをコーチ、選手と共有し活用するというフロントからの橋渡し役を担うのが監督。データに関する理解力はもちろん、多方面と連携するためのコミュニケーション能力が重視される。未経験の若手が起用されるのは、新しいものに抵抗がなく、柔軟に対応できるだろうということなのかもしれない。

 メッツの監督選考では、コミュニケーション力を買われてマイク・デローサ氏にも声がかかった。本人は監督になることなど考えたこともなかったそうだが、突然メッツのアルダーソンGMから連絡があり、監督候補として面接を受けてみないかと言われたという。デローサ氏はブレーブス、カブスなど7球団で16年プレーした元内野手で、監督、コーチの経験はなく、現在はMLB専門テレビ局で解説や番組司会をしている。現役最終年の13年はブルージェイズに所属し川崎宗則内野手(現ソフトバンク)と同僚だったのだが、よく2人一緒にテレビのインタビューに登場しては面白トークで笑いを振りまいて「ムネリンのよき相棒」という印象が強い。フレンドリーな性格で明るくトークがうまいという、コミュニケーション能力では群を抜いているタイプである。デローサ氏のような人物が候補に挙がるほど、今はコミュニケーション能力が監督としての重要な資質ということなのだろう。