エンゼルス大谷翔平が二刀流で注目される中、ベースボールカードコレクターの間で大谷狂騒曲が起きている。ベースボールカードの熱心な収集家は昔からいるが、これまでカードに興味を持たなかった人まで、大谷カードに熱い視線を送っている。

 今、大きな話題になっているのが、ボウマンから25日に発売されたベースボールカードだ。ボウマンは、スポーツカード大手トップス社のブランドの1つで、ルーキーやメジャーデビュー前の若手有望株(プロスペクト)の代名詞として知られるカード。そのボウマンから今年の新カードセットが発売されたのだが、まだ発売開始前の段階ですでに「大谷のサイン入りカードを引き当てた方、6万ドル(約660万円)で買い取ります」というオファーを出すカード業者が現れたのだ。まだ市場に出ていないカードに対して、これほどの高値で買い取りオファーが出ることは異例中の異例。しかも、まだメジャーデビューしてから1カ月もたっていない新人のカードなのだから、かつてない出来事として話題になっている。

 そのオファーを出しているのがインターネットのカード専門サイト「ブロウアウト・カーズ」。大谷のカードを求めるコレクターは多く、同サイトの運営会社には海外からもすでに問い合わせが入っているほどで、6万ドルで買い取っても、それ以上の高値で売れると見込んでいる。

 大谷のベースボールカードは、昨年12月の入団会見のカードからすでに過熱気味だった。トップス社のNowシリーズの1つとして販売されたそのカードは同シリーズでは過去最高の販売数を記録。開幕早々には同社の大谷サイン入りルーキーカードが6725ドル(約74万円)の高値で取引され話題になった。同じ頃、フィリーズのパット・ニシェック投手が、非常にレアもののサイン入り大谷カードが入ったカードパックを運よく引き当て、大喜び。ベテランのコレクターでもある同投手は、このカードをインターネットオークションサイトeBayに出品し6100ドル(約67万1000円)で売却したという。

 今回発売されたカードパックに大谷カードが必ず入っているとは限らないため、引き当てるまで何セットも買い求める人が殺到するとみられている。カード界における大フィーバーは2001年にイチローがマリナーズで、アルバート・プホルス(現エンゼルス)がカージナルスでデビューしたときにも起こり、最近では昨年、ヤンキースのアーロン・ジャッジが新人ながら本塁打を量産して注目されたときにカード市場にもインパクトを与えたが、今回の大谷はそれをはるかに超える熱狂を起こしていると業界関係者は話している。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)