今年の野球殿堂入りの発表が25日(日本時間26日)に迫っている。

今年はバリー・ボンズ氏(57=元ジャイアンツ)とロジャー・クレメンス氏(59=元ヤンキース)が選出資格の10年目で最終年、またアレックス・ロドリゲス氏(46=元ヤンキース)とデービッド・オルティス氏(46=元レッドソックス)が資格取得1年目ということで、注目が集まっている。

ボンズ氏は、歴代最多の通算762本塁打を放つなど華々しいキャリアを持ちながら、禁止薬物使用のスキャンダルのためにここまでの資格取得9年間で最高得票率だったのが昨年の61・8%。選出条件である75%以上にはまだ遠かった。

クレメンス氏も歴代9位の通算354勝、同3位の4672奪三振と普通なら殿堂入り間違いなしのレジェンド級だが、同じく薬物スキャンダルのため、昨年の61・6%が最高得票率だ。

最終年の今年は果たしてどうなるのか。野球殿堂入りの投票は、全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上所属している投票資格者が、候補者の中からふさわしいと考える10人までに投票することができる。投票資格のある記者は投票内容を公表する義務はないものの、米国の有名記者の多くは自身の投票用紙を公開している。

そこで米国では、殿堂入り投票の開票途中経過が専門サイトでまとめられている。「BBHOF Ballot Trucker(野球殿堂投票最新情報)」というサイトで、各候補がどれだけの票を得ているか発表の日まで逐次、数字が更新される。

それによると、発表の8日前に当たる1月17日更新の時点で、ボンズ氏は77・2%、クレメンス氏は76・0%と選出の条件となる75%を上回っていた。ただし開票率はこの時点で43・6%となっているので、このまま75%超えを維持できるかは微妙だ。早い段階で自身の投票用紙を公表している記者には「ボンズ氏、クレメンス氏は殿堂に入るべき」という意見を持っている人が多く、残りの票ではこの両氏の得票率が落ちることが予想される。

オルティス氏とロドリゲス氏の開票途中経過は、やや意外な結果になっている。オルティス氏は20年間のメジャーのキャリアのほとんどをDHとして過ごし、投票者はDHの選手にはやや厳しい評価をする傾向がある印象だったが、同氏の場合は候補者の中でトップ得票の83・6%となっている。一方、オルティス氏を155本も上回る通算696本塁打を放ったロドリゲス氏は、薬物使用スキャンダルのためか得票率は40・9%とかなり低い。注目の新規資格者2人がこれほど明暗を分けるとは思わなかった。

ちなみに筆者も実は、今回の殿堂入り投票で初の投票資格を得ている。先日、BBHOF Ballot Truckerのメンバーの1人の方から「もし可能なら、投票内容を教えてほしい」と連絡をもらったのだが、こんな末端の投票資格者まで把握しているとは、その情報収集力に驚かされた。【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)