エンゼルス大谷翔平投手(26)の二刀流が約2年ぶりに再スタートを切った。7月26日(日本時間27日)のアスレチックス戦で18年9月2日以来693日ぶりのメジャー復帰マウンドに上がり、結果は3安打5失点3四球で降板。30球を投じたが、1死が遠かった。

登板1週間前の19日、復帰戦に向けた意気込みを語る中で気になる言葉があった。「うまくいかないこと、たくさん出てくるとは思いますけど、その中で勝ちにつながるようなピッチングをしたい」。開幕前、3度の紅白戦で投球内容やフォームなどを大幅に修正できても、本番では厳しい道になる。大谷自身もそう予感していたようだった。

右肘のトミー・ジョン手術明けの復帰登板。直球のスピードや技術以前に、怖さや不安とどう向き合うか、また公式戦の実戦勘を養うことや無観客の中でのメンタル面など、多くの課題があった。登板前日には「もちろん、不安もありますし、楽しみもある。緊張はすると思う」と心境を吐露。復帰に向け、さまざまな感情が入り交じっていた。当日は笑顔でリラックスした表情も見られたが、マウンド上では腕が思うように振れず、「ただ投げている感じの方が強かった」と、打者を抑えるという気持ちまで持っていけなかった。

昨年オフから大谷を指導してきたキャロウェー投手コーチは精神面の難しさがあることを指摘。「自分の経験を踏まえると、これはものすごく難しい。フィジカルより難しい部分」と話した。まずは肘の不安をなくし、自信を取り戻すこと。その上で、技術的な修正を加えていく必要がある。

完全復活へ向けて、クリアすべき課題は多い。昨年、キャンプで地道なリハビリを続けていた大谷はこう言っていた。「今できるメニューを1日1日しっかりこなしたい。その1歩ずつが必ず復帰につながる」。明確な目標を定めた上で、困難と向き合い、前進し続ける心意気がある。時間はかかるかもしれない。だが、必ず復活する。屈しないその姿を追いかけたい。(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)