完全試合を達成したロッテ佐々木朗希投手(20)が、24日のオリックス戦で判定への不服そうな態度と取られ、球審が詰め寄るような行動に出たことが話題になりました。直前の試合まで17イニング連続でパーフェクトを継続し、注目された登板だっただけに、担当球審には「冷静な対応」を求める声が多かったようです。もし、佐々木朗がメジャーで同じような態度を取ったとすれば、違う反応になったような気がします。

日本には野球界にかかわらず、生年月日を基本とする「年功序列」の考え方が浸透していますが、メジャーでは少し異なります。確かに、年上に対してでもファーストネームで呼ぶのが通常ですが、ある程度の序列は存在しています。その中でも「メジャー登録日数」は、最も重要視されています。たとえば、クラブハウス内のロッカーの位置や大きさは、ほぼどの球団でも年俸ではなく、メジャー在籍年数が基準です。日本のような「先輩後輩」の上下関係ではなく、これまでの功績によって、序列が定められています。

今回、佐々木朗の態度がどの程度だったかは不明です。それでも、もしメジャーで20歳の若者がベテラン審判に不平な態度を取ったとすれば、たとえ「暴言」がなかったとしても、即刻退場になっていた可能性は十分にあります。裏を返せば、同じ野球界に携わる選手と審判は、互いの実績をリスペクトし合うことで、良好な関係を維持するようになっているとも言えます。

近年は最新テクノロジーの進化もあり、ビデオ判定だけでなく、球審の「ゾーン判定」の正否も数字化されるようになりました。確かに、映像だけで判断すると「???」のような判定もありますが、投手と打者のどちらに優位に働いたかどうかは、「ケース・バイ・ケース」で不明です。その際、不平不満はあっても「リスペクト」するのが、基本のような気もします。

言うまでもなく、審判は数値で計測されるようなマシンではなく、完璧な判定を続けることは限りなく不可能に近いでしょう。ただ、審判団がオフ期間に合同トレーニングや集中的な講習を行っていることは、あまり知られていません。人知れず、地道な訓練を重ねていますし、球界を支える上で、絶対に不可欠な存在です。

判定にミスは付きものかも知れませんが、審判団もプロ中のプロ。今やメジャーでもスーパースターとなったエンゼルス大谷翔平投手(27)が、微妙な判定で見逃し三振を喫した際、「NO、NO」と言わんばかりに首を振る姿は、ファンのみならず、審判団にはどう映るのでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)