2022年のメジャーの公式戦が、無事に終了しました。近年のメジャーは「投高打低」の傾向が見られていましたが、今季はさらに顕著になりました。

メジャー全体の平均打率は、1969年以降では最低の2割4分3厘。3割打者は、3割2分6厘のジェフ・マクニール(メッツ)を筆頭に、わずか11人にとどまりました。3割1分6厘でア・リーグで首位打者を獲得したルイス・アラエス(ツインズ)は、68年のカール・ヤストレムスキー(レッドソックス)の3割1厘以来、最も低い打率でのタイトルホルダーとなりました。

「飛ぶボール」が使用されたと言われる2019年に過去最多の6776本を記録した本塁打数も、公式球が改良された今季は5215本まで減少。「投高打低」に拍車をかけました。

その一方で、投手の体力、技術が劇的に向上したとも分析されています。米データ会社によると、フォーシームの平均球速は93・9マイル(約151・2キロ)まで上昇。100マイル(約161キロ)を超えたのが延べ3356球と、19年の1056球から大幅に増加しました。平均球速100・8マイル(約162・3)を記録したジョアン・デュラン(ツインズ)をはじめ、ジョーダン・ヒックス(カージナルス)、アンドレス・ムニョス(マリナーズ)らが平均時速100マイルを超えるなど、投手の「高速化」が進んだことが実証されています。

また、極端な守備シフトがメジャー全体に浸透したことも要因に挙げられています。11年に2349回だったシフトは、今季6万6961回まで増加。特に左打者に効果的で、全体平均よりも低い打率2割3分6厘と、16年の2割5分4厘から大きく低下しました。

もっとも、来季からは守備シフトが制限されるため、平均打率が上昇するとみられています。このほか、投球間の時間を規定するピッチクロックや大型ベースが導入されるなど、新たな試みがスタートします。

過去数年、本塁打に依存する大味な野球が目立っていたメジャーは、来季以降、どう変化していくのでしょうか。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)

エンゼルス大谷翔平(2022年9月30日撮影)
エンゼルス大谷翔平(2022年9月30日撮影)