どこまでも広がるトウモロコシ畑の中に、「夢の球場」はありました。

8月12日に映画の舞台となった「フィールド・オブ・ドリームス」の地で、大リーグ公式戦が初開催されました。私も歴史的一戦に立ち会うことができ、望外の喜びに浸りました。

米国第3の都市シカゴから西へ約330キロ。ミシシッピ川を越えるとアイオワ州の大穀倉地帯となり、真っ青な空と一面見渡す限りのトウモロコシ畑が続きます。やがて、「聖地」ダイアーズビルに到着。“Welcome baseball fans”の文字が所々に見えるなど、町は歓迎ムード一色。さらに天まで続くようなトウモロコシ畑の中を行くと突然景色が変わり、フィールド・オブ・ドリームスが目に飛び込んで来ました。

1989年公開の映画を見て以来、一生に1度は訪れたいとずっと思い続けていた場所でした。主人公の農民レイ・キンセラが「それを作れば、彼はやって来る」という不思議な声を聞いて、収穫間近の畑をつぶし作った、まさに夢のフィールドです。

その天国に一番近い場所へと、ついにやって来ました。昨年開催予定だったホワイトソックス対ヤンキース戦がコロナ禍のため延期となり、2年越しの開催実現となったからです。

まず前日11日の午前10時から、報道陣向けのツアーに参加しました。映画のロケ地となったフィールドに始まり、キンセラ親子の白い家の中も特別に見学できました。その後、外野後方に広がるトウモロコシ畑の中を通って、この試合のために造られた特設球場へと向かいました。

球場を見回し、感動したのがフィールドの大きさです。1910~1990年まで当時、大リーグ最古の球場として使用され、1919年ワールドシリーズの八百長事件、いわゆる「ブラックソックス事件」の舞台となった、ホワイトソックスの旧本拠地コミスキーパークと同じサイズです。ただ、内野席だけの収容8000人のこぢんまりした球場。また、古き良きイメージを醸し出すために、内外野のフェンスを木目のカラーに統一し、バックスクリーンや手動式スコアボードも木製というこだわり。外野は特設フェンスでトウモロコシ畑が見えるようにし、球場周辺は見渡す限り緑一色です。

当日は朝から居ても立っても居られず、球場へ直行しました。しばらくすると、球場内に映画のテーマ音楽が流れ出し、試合前に行われる記念式典リハーサルが始まりました。そのとき、外野のトウモロコシ畑から1人の男性が現れました。

そう、映画の主演俳優ケビン・コスナーです。そのとき、現場にいた報道陣は私1人だけ。リハーサル終了後、私のいる三塁側ダッグアウトにコスナーがやって来ました。もう2度とない機会だと思い、「ハイ、ケビン!」と声を掛けると、とっさにガードマンに制止され、残念ながら話を聞けませんでした。それでも、あのコスナーを3度のリハーサルを含め4度も目の前で見る幸運に恵まれ、プレーボール前から感動の連続でした。(後編につづく)【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

フィールド・オブ・ドリームスでの試合前リハーサルを終えた俳優ケビン・コスナーと至近距離で遭遇
フィールド・オブ・ドリームスでの試合前リハーサルを終えた俳優ケビン・コスナーと至近距離で遭遇
フィールド・オブ・ドリームスの入口にある案内看板
フィールド・オブ・ドリームスの入口にある案内看板
フィールド・オブ・ドリームスでホワイトソックス-ヤンキースの大リーグ公式戦開催を伝える記念碑
フィールド・オブ・ドリームスでホワイトソックス-ヤンキースの大リーグ公式戦開催を伝える記念碑
左翼後方のトウモロコシ畑から見たフィールド・オブ・ドリームス
左翼後方のトウモロコシ畑から見たフィールド・オブ・ドリームス