大リーグはシーズン後半戦に突入しました。今季もプレーオフ進出が厳しくなってきたエンゼルスですが、大谷翔平投手(28)は投打で奮闘し、2年連続MVP候補に挙がる活躍を見せています。特に、投手として渡米5年目でベストの成績をマーク。9勝5敗、防御率は2・80、奪三振は134。ア・リーグMVPだけでなく、サイ・ヤング賞候補にも浮上してきました。そこで注目したいのが、投球回でもメジャー自身初となるシーズン規定162回クリアです。

今年最初の今コラムでは、真の二刀流にふさわしい究極の頂点として、打席と投球回での「ダブル規定到達」を大谷に期待する初夢に描きました。昨季は日米通じて初のシーズン規定打席(MLBは502)を満たしましたが、投手では規定投球回に約30イニング届かず。23試合に先発して130回3分の1でした。

投打ともに規定クリアは19世紀にガイ・ヘッカー(ルイビル)ら数人達成の記録は残りますが、当時はルールも異なり、「参考記録」の扱いです。1900年以降の近代野球では、元祖二刀流ベーブ・ルースもできませんでした。1918年レッドソックス時代はシーズン途中、投手から二刀流に挑戦したため、規定投球回クリアも規定打席には10打席ほど足りず。1919年は規定打席をクリアした一方で、規定投球回には4イニングほど届きませんでした。

大谷は後半戦開幕となった22日(日本時間23日)ブレーブス戦で7回途中まで投げ、チーム今季93戦目で投球回は93回3分の1に。開幕直後を除けばメジャーで初めて規定投球回に達し、ア・リーグ防御率9位で初ランクインを果たしました。翌23日(同24日)には再び未達となりましたが、次回登板以降も6回以上を投げ続ければ、規定投球回到達を繰り返していくものと思われます。

投手にとって規定投球回は重要です。サイ・ヤング賞争いや、最優秀防御率の対象として重要な要素になるからです。

規定投球回に到達するための最大のカギは、登板数になります。チームがプレーオフ争いに望みをつなげば、登板間隔が短くなる可能性もあります。しかし、プレーオフ進出を諦める状況になるとケガ防止のために酷使させず、従来通り先発6人ローテーションを続けるでしょう。

そうなると、大谷の残り先発登板は11試合となりそうです。規定投球回に到達するには、1試合平均6・27回投げる必要があります。前半戦は1先発当たり5・8イニングだったので、さらに投球回数を増やす必要があります。さらに6人ローテなら、対戦相手はレンジャーズ、アスレチックスなど、勝率5割以下のチームが多くなりそうです。

大谷は日本ハム時代の2014年と2015年に規定投球回をクリアしましたが、規定打席には達していません。今季はシーズン規定打席到達まで残り120打席を切っており、こちらは8月下旬にも到達できるペース。大谷にとっても、二刀流10年目で初めて機は熟しました。

ルースもできなかった史上初の投打ダブル規定到達となれば、シーズン「2ケタ本塁打&2ケタ勝利」達成に匹敵するほどの大偉業。今後は勝ち星や奪三振数と同時に、投球回にも注目してください。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)