ローンデポパークはマーリンズの本拠地で日本のファンにはなじみの薄い球場ですが、侍ジャパンには「追い風」が吹くかもしれません。というのも、投手有利な「ピッチャーズパーク」で有名だからです。

16年、20年と2度にわたり、外野フェンスを手前に出しましたが、今大会でも本塁打性の打球が外野手に捕られるシーンが何度もありました。ドミニカ共和国のマチャド(パドレス)がニカラグア戦で1試合3本塁打かというような当たりを打っても、スタンドインは1本だけ。日本では大谷なら打てるかもしれませんが、相当なパワーが必要です。ここまで侍ジャパンのチーム防御率1・80は、出場20チーム中で1位。強力投手陣にとっては、心強い球場です。

開場は12年。開閉式屋根が特徴ですが、屋根が開くのは年間で14%ほど。今大会も1次ラウンドでは、全試合閉じていました。

20年にグラウンドを天然芝から人工芝に変更。ショースポーツターフ社の製品が人気で、ブルージェイズ、レイズ、Dバックス、レンジャーズの本拠地と合わせて、現在も5球団と少ない人工芝を使用します。非常にクッション性があり、選手の安全面からも天然芝と変わらぬ品質と評判です。マ軍の同球場でのゴロ打率は、天然芝だった16~19年が2割4分7厘で20年以降は2割4分6厘。普通なら人工芝にすると球足が速くなるのですが、むしろ打率が下がりました。

過去のWBC決勝はペトコパーク(パドレス)、ドジャースタジアム、AT&Tパーク(現オラクルパーク、ジャイアンツ)とすべてピッチャーズパークでした。米国は第1回から打撃のチームのように見えますが、実は守備も鉄壁という選手を選んでいます。今回もゴロを打たせる投手を多く選出したのは、球場の特性を考えているのでしょう。本塁打が少ない以上、勝敗の鍵はいかに守れるかとスピード。日本は守備範囲の広い中堅ヌートバーに期待がかかります。

マイアミは「中南米の首都」と呼ばれるほど移民が多く、プエルトリコやベネズエラ、キューバには応援が後押しとなるでしょう。メキシコは、国境を接するアリゾナでは米国以上の人気でしたが、マイアミには少ない。日本が気後れすることはないでしょう。(大リーグ研究家・福島良一)

22年7月6日、マーリンズ対エンゼルス 力投するエンゼルス先発の大谷
22年7月6日、マーリンズ対エンゼルス 力投するエンゼルス先発の大谷
22年7月6日、マーリンズ対エンゼルス 5回表エンゼルス2死満塁、左前へ2点適時打を放つ大谷。投手ロジャーズ
22年7月6日、マーリンズ対エンゼルス 5回表エンゼルス2死満塁、左前へ2点適時打を放つ大谷。投手ロジャーズ