エンゼルス大谷翔平投手(28)が3度目の月間MVPも確実な6月を歴史的猛打で終えました。同30日(日本時間1日)終了時点で、ア・リーグの本塁打王争いでは30号一番乗りでトップを独走中。また、打点王争いでも「67」で単独トップに立ち、打率3割1分も1位に6厘差と3冠王まで見えてきました。
中でも最も注目されるのはホームランです。公式戦のちょうど半分の81試合を終えた時点で28発は、単純計算でシーズン56発ペース。また、昨年ロジャー・マリス(元ヤンキース)超えの62本塁打を記録したアーロン・ジャッジ外野手(31=ヤンキース)と同じペースで量産中です。
2位のルイス・ロベルト外野手(25=ホワイトソックス)とは6本差。昨季までのシーズン最多は13本塁打と実績に乏しく、このペースで打ち続けるかは未知数です。最大のライバルと目されたジャッジが右足親指を痛め、復帰のめどが立たない状況だけに、もはや敵なしの様相です。
本塁打量産の背景として、何よりも大きいのは主砲マイク・トラウト外野手(31)の存在です。昨年までは、主に「最強の2番打者」トラウトの後の3番を打っていましたが、最近は打順が入れ替わり、2番が多いです。結果的に多くの打席に立つことが可能で、トラウトが後に控えることで投手が勝負してくれます。終盤の失速などでタイトルを逃した2021年は20個、34本塁打の昨年も14個あった敬遠四球が、今季は絶好調にもかかわらず4つしかありません。
今季、2番での成績は目を見張るものがあります。6月終了時で28試合にスタメン出場し打率3割6分8厘、14本塁打、OPS1・318。本塁打は2試合に1試合のペースで出ています。相手投手によって打順は入れ替わることもあるでしょうが、援護砲のトラウトが3番にいる限り、2番起用は効果的でしょう。このペースで50本の大台に乗せれば、ライバル不在もあり、日本人初のホームラン王が現実味を帯びてきます。
打点王をアシストするポイントになるのが、下位打線です。今季、エンゼルスの8、9番の成績を見ると、ともにア・リーグ2位の出塁率です。つまり、主に2、3番を打つ大谷は走者を置いた場面で打席に立つ機会が多くなっています。さらに、大谷の得点圏打率は21年の2割8分4厘、昨年の3割1分4厘から、今季は3割3分3厘とアップ。例年以上に、チャンスで勝負強いバッティングが目を引きます。新人ザック・ネト遊撃手(22)がケガから復帰し、9番で「もう1人のリードオフマン」の役割を果たせば、打点増に貢献してくれそうです。
最後に、首位打者争いです。3冠王を狙うスラッガーには「最難関」に思われそうですが、今季からの「ルール改正」が追い風になるかもしれません。極端な守備シフトが規制されたことで、特に大谷のような左の強打者が恩恵を受けています。昨年までならシフトで阻まれていた打球が安打となり、安打数は昨季の自己最多160本を上回るどころか、200安打にも迫るペースです。打数は目下のライバル、ボー・ビシェット内野手(25=ブルージェイズ)より30以上少なく、固め打ちなら上昇率が高いメリットがあります。
最近では、21年にウラジーミル・ゲレロ内野手(24=ブルージェイズ)が史上最年少で3冠王なるかと騒がれ、昨年はジャッジも一時3冠王を射程圏に入れました。大谷は2人と同じパワーと選球眼を兼ね備えたタイプという共通点があります。一方で、2人にはない、屈指のスピードを生かした内野安打という強みがあります。メジャー記録の10年連続200安打を達成したイチロー(マリナーズ)とまでは言いませんが、ある意味、彼に匹敵するアベレージ力も持っています。
前半戦は残り2カード計5試合を残すのみですが、大谷はメジャー6年目で「二刀流」としても最高の折り返しになりそうです。昨年は本塁打と勝利数の「ダブル2ケタ」と、打席と投球回の「ダブル規定到達」という2大金字塔を達成しましたが、今年はともに連続で楽々の射程圏。それどころか、投打で前人未到のダブルタイトル、史上17人目の3冠王(1リーグ時代含む)も決して夢でないような気がします。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




