今オフのメジャー移籍市場はエンゼルスからFAの大谷翔平投手(29)だけではありません。メジャー全体で大谷に次ぐ2位にランクされ、オリックスからメジャー移籍を目指す山本由伸投手(25)の争奪戦もスタート。豊富な資金力を持つヤンキースやメッツ、ドジャース、ジャイアンツなど10球団以上が参戦することになりそうです。

その中でも最有力候補はヤンキースかと思います。なぜなら、今年ヤンキースは7年ぶりにプレーオフ進出を逃しました。最終的に辛うじて82勝80敗と勝率5割は維持したものの、投打ともに歴史的な不振のシーズンでした。チームの主将アーロン・ジャッジも「多くの変化、多くの修正が必要だ」と指摘していました。

そこでオフの最優先課題として、まずは伝統的な打撃のチーム復活のために左のパワーヒッター、次に先発投手陣の柱となるピッチャーが挙げられます。エースのゲリット・コールは初のサイ・ヤング賞に輝く素晴らしい活躍でしたが、それ以外の投手陣は故障離脱も多く、コールを除く先発投手陣の防御率は5点台(5・06)と期待外れに終わりました。

そうなると、最大のターゲットは先発投手として「特A」の評価を受けている山本です。特に、今年は同じニューヨークに本拠を置くメッツの千賀滉大投手が1年目から12勝7敗と大活躍。ナ・リーグ新人王投票でも2位となりました。その千賀に対抗すべく、何が何でもヤンキースは日本のエースが欲しいところです。

かつて、1995年に日本人大リーガーのパイオニア、ドジャース野茂英雄投手が全米中に“トルネード旋風”を巻き起こしたとき、それに対抗すべくヤンキースは「日本のノーラン・ライアン」と言われた伊良部秀輝投手を獲得。常にライバル球団への対抗意識を燃やし続けて来ました。

また、過去には元広島の黒田博樹投手が3年連続2桁勝利(ドジャース時代を含めると5年連続)をマーク。元楽天の田中将大投手が6年連続で2桁勝利を挙げ、オールスターにも出場するなど、日本の先発投手が活躍した実績もあります。

それと今年9月に山本がノーヒットノーランを達成した際、何とネット裏最前列でヤンキースのブライアン・キャッシュマンGMが視察。それを見たとき、何か特別な縁を感じました。

ただし、今オフはヤンキースだけでなくメッツも先発投手を狙っています。しかも、今年8月1日のトレード期限にジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザーという先発2枚看板を一気に放出しました。その大きな穴を埋めるべく2人のピッチャー獲得に動いています。しかし、ヤンキースにとって、ニューヨークのライバル球団メッツにだけは山本を奪われたくないでしょう。

一方、もしドジャースが大谷獲得に失敗したら、真っ先に山本獲得に動くはずです。いずれにせよ、ニューヨークやロサンゼルスといったビッグマーケットを本拠地とし、なおかつ優勝出来るチームへの移籍となりそうな気がします。

なぜなら、エース級の投手に相応しい大型契約が見込まれているからです。現地の報道によると、14年にヤンキースが田中と契約した、当時日本選手史上最高の7年総額1億5500万ドル(当時のレートで約163億円)をはるかに上回る2億ドル(約300億円)以上になりそうです。

これまでメジャーで2億ドル以上の契約を結んだ投手は6人しかいません。最近では19年12月にヤンキースとFA投手史上最高額となる9年総額3億2400万ドル(当時約356億円)で契約したコールが有名です。

はたして、日本のエース山本はヤンキース、メッツ、それともドジャースか、またどのぐらいの大型契約を結ぶのか、大谷の去就とともに目が離せません。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)