現地29日、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーとインディアンスが「先住民族の長」をデザインしたチームロゴを2019年からユニフォームで使用することをやめる、と発表した。これはコミッショナーとポール・ドーラン・チームオーナーとの長期に渡る協議の末決まったもの。

 赤い顔に白い歯を見せて笑い、頭に赤い羽根をつけた「ワフー首長」と呼ばれるロゴは1947年以来チームの顔としてした親しまれてきた。しかし、近年は先住民族に対する偏見や差別を助長するとして廃止すべきという声が強くなり、愛着を持つファンなどとの間で激しい論議が繰り返されてきたのである。

 実際全米レベルでの批判の高まりもあって近年チームは選手が被る帽子につけるロゴをワフー首長から「C」に変更、本拠地プログレッシブ・フィールド周辺からもワフー首長のイラストを消すなど、ワフー首長をロゴから分離する策を講じてきた。

 また2016年にインディアンスがワールドシリーズに進出した際、コミッショナーはチームのシンボルを廃止させたいと表明。シーズン後トロントで試合をする際、カナダのテレビにロゴとチーム名を映るのを禁止すべきだという裁判まで起こされたりしている。

 今回の決定に関し、コミッショナーは「MLBは試合を通じて多様性と包摂の文化を築く決意を固めている。1年以上に渡り、我々はインディアンスとクラブのワフー首長の使用について協議してきた。建設的な協議を通じて、ポール・ドーランはロゴが長年に渡りファンに親しまれ、チームの歴史の一部となっていることを明白にした。しかしながらクラブは最終的にMLBの試合でのの使用にロゴがもはや適切ではないという私の考えに合意した。2019シーズンの開始時に試合ののユニフォームから廃止するというゴラン氏の合意に感謝する」との声明を出している。

 オーナーも「ファンの多くが長年の愛着を抱いているが、私はユニホームからロゴを外すべきだというコミッショナーの意向に最終的に同意した」とした。

 ただしこれで完全に廃止されるわけではない。同マスコットを使ったグッズなどはクリーブランドを中心とする本拠地域では19年以降も販売を続ける見込みだ。これは商標の維持も目的となっているようである。またインディアンスというチーム名の変更も予定されていない。このため批判はくすぶり続けそうだ。

 また、NFLのワシントン・レッドスキンズや有力大学など、先住民にちなむチーム名やロゴの使用が続いている例もある。今回の決定でさらに論議が高まることになるかもしれない。