ヤンキースで”キャプテン”の愛称で親しまれ、今オフからマーリンズのCEOに就任したもののチームの体制作りで地元ファンやメディアから批判を浴びたデレク・ジーター氏が新たなもめ事を抱えたようだ。本拠地マーリンズ・パーク名物の撤去問題だ。

 「ホーマー」と呼ばれる7層建てのこの彫刻はセンター後方に設置され、本塁打が出ると噴水が上がり、カジキやカモメが動く仕組みとなっており、ファンを楽しませてきたのである。2009年に4億ドルをかけてこのスタジアムが建設された際、芸術家グロームス氏によって造られた。250万ドルの価値があるという。

 しかし12億ドルでチームを買収したジーター氏を中心とした投資グループはこの極彩色のアート作品を気に入っておらず、ホーマーを撤去する方針を明らかにしたのである。

 これに対し80歳のグローム氏はニューヨーク・ポスト紙の取材に対し「私はあれを残したい。残してベースベールに縛られ続けたい」と撤去に反対する姿勢を示したということだ。

 さらにグロームス氏はニューヨーク在住ということもあり、「ジーター氏があれを好きじゃない。そんなことを信じられますか?彼は我々のヒーローです。私がデレク・ジーター氏と揉めるなんて考えたことがありませんでした」と語ったとしている。

 彫刻自体を所有しているのは地元のマイアミ・デイド郡で、郡政府としてはホーマーを近くの美術館や野球場に移設し、観光客が気軽に写真撮影をできるようにする意向を示している。ただ移設にはグロームス氏が許可することが必要だとしているのだ。郡の文化担当者はマイアミ・ヘラルド紙に「私たちの前提は、アーティストの支持を得たいということです。それを得る方法は、アートワークと芸術家の両方に対して敬意を表していることを理解してもらうことです」とコメントしている。

 ジーター氏はこの件に対し「あれは大きい。つまりユニークだ。ユニークな彫刻だ。我々は対話している。ファンに対してより良い試合体験ができる方法が実現できるよう努力を続けている」とあくまで撤去の姿勢を示しているとのことだ。

 しかしグロームス氏はホーマーはマーリンズ・パークのためにデザインされ、造られたものであり、移設するとマッチしないと主張し、あくまで残すことを主張している。

 ジーター氏とジーター・ファンではあるものの自分の芸術作品を残したいグロームス氏が双方にとって良い着地点を見つけられるといいのだが。