現地10日終了時点で5勝6敗と負けが先行し、ア・リーグ東地区3位のヤンキース。チームの調子が上がっていない原因の一つは紛れもなくジャンカルロ・スタントン外野手の不調にある。

 スタントンは昨年までマーリンズに所属していた2014、17年の2回本塁打王に輝き、17年は59本塁打、132打点、打率2割8分1厘でナ・リーグMVPを受賞する活躍を見せた。現在MLBを代表する強打者という評価を受けていた選手である。

 そんなスタントンをやはり高く評価し、ヤンキースはチームの補強のため昨年12月にトレードで獲得した。ちなみに50本塁打以上を記録したシーズン後にトレードされた選手は99年のグレッグ・ボーン元外野手以来史上2人目であり、それほどオーナーなど体制が変わったマーリンズはチームの一新を図り、ヤンキースはスタントンを望んでいたのである。またヤンキースには昨年52本塁打を放ち大躍進を見せたアーロン・ジャッジ外野手が所属していることから、強力打線が組まれることへの期待が高まってもいた。

 が、開幕から2週間、スタントンの打撃は低迷を続けている。10日までで本塁打は3本記録しているものの、打点は7、打率は1割9分6厘という有様だ。目に付くのが三振の多さで22となっている。

 3日のレイズ戦と8日のオリオールズ戦では1試合無安打5三振を喫した。同じシーズンに無安打5三振は史上初だという。しかも開幕からわずか10試合でである。またスポーツ専門局ESPNは8日まででの16三振は41年に名選手ジョー・ディマジオがシーズン全体で記録した13三振を上回ったとも指摘している。

 特に8日は6打数無安打で迎えた延長12回裏8対7、2死ながら一打逆転の場面でスタントンに打席が回ったもののこの日5回目の三振となり、試合終了となってしまった。場内のヤンキースファンからのブーイングを浴びることになってしまったが、それも仕方ないことではあった。

 スタントンは14年にスポーツ史上最高額となる13年総額3億2500万ドルの契約を結んでいる。ヤンキースが今年支払う年俸は2500万ドルだ。しかし現在の状況ではその価値はまったくないとしかいえない。果たしてスタントンはここから期待通りの動きを見せてくれるだろうか、それともヤンキースの黒歴史を刻むことになってしまうだろうか。