オールスターゲームの前日、現地12日に開催予定となっている今年のMLBホームランダービー。エンゼルスの大谷翔平投手が選ばれたことで日本でも注目度が上がっているが、もう1つの注目点としてメッツのピート・アロンソ一塁手のバットがあるとスポーツ専門局ESPNのウェブサイトが報じている。カスタムペイントされた8本のバットを用意しているというのだ。

本塁打競争で優勝したメッツのピート・アロンソ(2019年7月8日撮影)
本塁打競争で優勝したメッツのピート・アロンソ(2019年7月8日撮影)

アロンソはメジャーデビューした2019年にいきなり53本の本塁打を放ち、MLB本塁打王だけでなく新人賞にも輝いた。その年のオールスターに選ばれ、ホームランダービーでも優勝している。今回もディフェンディングチャンピオンとして出場する。

一方、ダービーでカスタムペイントされたバットを使用する流れは18年に出場した当時ナショナルズにいたブライス・ハーパー外野手に始まる。アロンソは19年のダービーでハレー彗星のペイントがされたバットを使用して優勝していたのだ。

今回さらに進化してアロンソはアーティストのグレゴリー・シフ氏がペイントしたバット8本をバッティング練習やダービーで到達したラウンドごとに替えながら使用する。

シフ氏によれば「家族第一」、「真実、美、愛、野球」といったアロンソにとって意味のあるフレーズが使われているのだとか。特に特徴的なのは「Molon Labe」というもので、これはスパルタ兵たちの奮闘を描いた映画「300」で使われたギリシャ語で「取りに来い」という意味の言葉だという。アロンソはこの映画が大好きで「スパルタ兵がすべての困難を乗り越えて300人だけで守ったように、それは私のプレーの仕方を表す言葉です。私のシューズとベルトの内側にはそれが描かれています」と思い入れをコメントしている。

また紫、銀、黒に塗られたバットもあり、これは第2次世界大戦前にスペインからニューヨークに移り住み、ニューヨーク大学に通っていた祖父に捧げられたものだということだ。「私にとって、大リーグでのプロとしてのキャリアはニューヨークでスタートしましたし、私の父は(ニューヨークの)クイーンズで生まれましたから、この街は私にとってとても特別なのです。紫はロッキーズの色だと思われるかもしれませんが、本当は祖父に捧げるニューヨーク大学の色なんです」と説明している。

現在、MLBでは選手が試合中にペイントされたバットを使用することは認められていない。ただアロンソはチャリティーイベントでの使用実績やスニーカー文化の高まりなどを受け、解禁を望んでいるようだ。「私は全く問題だとは思いません。好きな色のバットを使うことには何の問題もないと思います」とコメントしている。