大谷翔平投手のア・リーグMVP受賞など数々の賞が発表され、現地22日にレイズのワンダー・フランコ遊撃手が11年1億8200万ドルが保証された大型契約を結ぶなど来シーズン以降をにらんだチームづくりなど今回も賑(にぎ)やかなオフシーズンとなっている。ただそうした動きが一斉にストップする可能性が出てきた。労使交渉が進展していないようなのだ。

現在の労使協定はアメリカ東部時間の12月1日午後11時59分に失効する。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは18日、12月1日は新しい労使協定に合意するための厳格な期限ではないとした上で、「プロセスを前進させるオフシーズンのロックアウトは、試合を犠牲にする労働争議とは違うということを理解していないファンが世界中に1人でもいるとは信じられない」と述べ、ロックアウトを実施することを示唆した。

ロックアウトとは、労働争議の際に企業の経営陣が行う業務停止や雇用を拒否することだ。従業員が働くことを拒否するストライキとは異なる。MLBの場合ロックアウトはオーナーが行うもので、球団幹部が選手と話をしたり、メジャーリーグの契約をしたり、トレードをしたりすることができなくなるのだ。選手はチーム施設から閉め出され、トレーニングなどで使用することができない。

MLBでは直近で1994から95年に選手がまずストライキをし、その後オーナー側がロックアウトを行ったため7カ月半にわたり一切の活動が止まった。1976年と1990年にもロックアウトが行われ、ストライキと合わせると8回停止した歴史がある。またいわゆる4大リーグではプロアメリカンフットボールNFLとプロバスケットボールNBAが2011年に同時にロックアウトを行ったこともあった。

ロックアウトに突入すれば、FA市場も止まってしまう。今オフに1億ドル以上の契約を結ぶと予想される選手は12人に上ると予想されるが、宙ぶらりんの状態となってしまうのだ。長期契約を結んだフランコや共にトミー・ジョン手術明けのジャスティン・バーランダー投手とノア・シンダーガード投手が1年契約を急いだのはそうした事態を避ける意図もあったのだろう。

もし3月のシーズン開幕までに両者が合意に至らなかった場合、来シーズンの短縮や中止を余儀なくされる可能性まで出てくる。

マンフレッド・コミッショナーやオーナー側も選手会側も楽観的な見方をしているとのことだが、今後の展開には注視が必要だ。