現行の労使協定の失効期限が米東部時間1日午後11時59分に迫るもMLBと選手会による労使交渉は進んでおらず、失効と共にオーナー側が一切の業務を停止させるロックアウトに突入する公算が高くなっている。ロックアウトに入ると契約も交渉もできなくなるため、期限前に駆け込み契約を結ぶ動きが一挙に広がった。

まず現地29日、メッツがドジャースからFAとなっていたサイ・ヤング賞3回の剛腕マックス・シャーザー投手と、3年1億3000万ドルの大型契約に合意した。1年平均4330万ドルの年俸はこれまでヤンキースのゲリット・コール投手が保持していた3600万ドルを越え、史上最高額となる。さらに以前所属していたナショナルズは2024年まで年1500万ドルをシャーザーに支払う必要もある。

スポーツ専門サイト、ジ・アスレチックのティム・ブリットン記者はただ額が高いだけでなく「オーナーによるロックアウトの前夜に、選手会の執行小委員会のメンバーであるシャーザーがという点で、大きな意味を持つことは間違いない」と指摘した。

またメッツはこれまでにスターリング・マルテ外野手、エデュアルド・エスコバル内野手、マーク・キャンハ外野手と強打者を続々と補強しており、これらの追加年俸は2億5450万ドルに達する。これにより新たな労使協定が結ばれた際、新たなぜいたく税の基準がいくらになるにしても、メッツがそれをオーバーするのは確実と見られている。

また期限ギリギリの現地1日にはハビアー・バエズ遊撃手がタイガースと6年間1億4000万ドルの契約で合意したことが発表された。2度オールスターに選出され、長く在籍したカブスから今年メッツにトレードされたバエズとしてはなんとしても早く新たに活躍できる新天地を決めたかったのだろう。

一方、チームとして大きな動きを見せたのがレンジャーズだ。今シーズン102敗したレンジャーズはチーム再建が急務だったのである。

11月29日にマーカス・セミエン内野手と7年間の1億7500万ドルの契約を結んだことを発表。さらにその約24時間後にはコーリー・シーガー遊撃手との10年間で3億2500万ドルの契約に至ったことを明らかにしたのである。

2人のFA選手に支払う総額5億ドルは過去4シーズンの合計給与額4億1000万ドルを超えるのだからいかに大胆な補強かわかるだろう。過去5年間ポストシーズンを逃し、そのうち3回は最下位というレンジャーズはまさに必死なのだ。

ロックアウト中は一切の動きが停止する。まだ補強できていないチーム、契約がない選手達にとってはやきもきする日が続きそうだ。