現地11日、老舗スポーツ総合誌スポーツイラストレイテッドの電子版がエンゼルスのアート・モレノ・オーナーのインタビュー記事を掲載した。

同オーナーに関しては昨年8月にいったん売却の意思を発表した後、今年1月に撤回する騒ぎがあった際も簡潔な声明が出されただけで、ほとんど公に語られることがなかった。それだけに注目されるが、なかでも興味深かったのがやはり売却騒動についてと、大谷翔平投手についてだ。

売却については3件の入札があり、さらに1件日本からの問い合わせがあったもののこれは入札に至らなかったと語っている。3件の入札に関してはスティーブ・コーエン氏がメッツに支払った史上最高額の24億2000万ドルを2億ドル以上上回ったという。「ええ、メッツの数字より上でしたよ。まあ、メッツの数字よりかなり上でした」と話している。

いったん売却を決断した動機については、チームが当初、スタジアム周辺の土地についてアナハイム市から3億2000万ドルで購入する契約を結んだものの、この件に関する汚職でアナハイム市長が辞任したスキャンダルが大きかったようだ。モレノ・オーナーはFBIの捜査対象にはなっていなかったが、動揺していたという。

その上で、入札者をスタジアムに案内した際、「あなたの目を見ていると、売る気がないように見える」と言われ、「突き詰めてみると、行いたくなかった」と気づいたのだとか。さらに「できなかった。心の中で、どうしてもできなかった」と話している。さらにその変化について「心変わりというより、状況的なものでした。心変わりではない。私は野球への愛情を失うことはないでしょう。それは、死ぬまでそうです。野球を好きでなくなることはない」と説明している。

一方で、大谷を保持し続けていることについて昨年5つのトレードオファーがあったものの、全て拒否したことを明かした。その理由について「彼を毎日見ることができる絶対的な喜びです。そして、彼は紳士です。彼は本当に素晴らしい」と話している。

その一方で、7月にまたオファーが来たらどうするかという質問に対しては「はっきり言います。プレーオフ進出を争っている間は、大谷をトレードすることはない」と即答したものの、プレーオフ争いをしていなかったらという問いには「それには答えず、その理由を話します。我々はプレーオフ争いになることを期待している。このチームを編成する計画のすべてが、プレーオフに進出するためですから」と苦しさもにじませていた。