【サプライズ(米アリゾナ州)13日(日本時間14日)=佐藤直子通信員】右肘内側側副靱帯(じんたい)を損傷したレンジャーズのダルビッシュ有投手(28)が、17日にトミー・ジョン手術と呼ばれる靱帯修復手術を受けることになった。一般的に復帰まで12~15カ月を要し、今季中の登板は絶望となった。同僚の藤川やレッドソックスの田沢らを執刀した、同手術の権威ジェームス・アンドリューズ医師が担当する。

 野球人生最大の決断をしたダルビッシュに悲愴(ひそう)感はなかった。「基本的にポジティブな性格。そこ(手術)から自分の肘がどんどんよくなっていくし、リハビリの間にできることがたくさん増える。手術の過程も伝えていくことができる。そこが楽しみ」と笑顔さえ見せた。

 5日のオープン戦初登板で右上腕部に張りを訴えてから、3人の医師に見解を求めた。6日に最初の精密検査でチームの医師から手術を勧められた時、すでに腹は決まっていたという。患部の靱帯はすり減っている状態といい、束状の線維がところどころ細くなっている。ダルビッシュは「僕の場合は裂けていない。特殊なケースと言われた」とした上で、「手術をすべきでないという意見もあるが、もし切れた時に来年のシーズンがなくなってしまう。2シーズンを棒に振る可能性を回避するための手術」と説明した。

 けがの原因については「何となくこれかなというのはあるが、ここで言うべきではない。いつか伝えることがあれば僕が本に書くんで買って下さい」とけむに巻いた。リハビリ期間中は「社会人としてプラスにしなければいけないこと、アスリートとして改善しなければいけないこと」に取り組むという。手術経験者からの情報はあえてシャットアウトする。「基本的に他人と自分は違うと思っているので、自分は自分なりの新しいアプローチの仕方をしようと思ってます」。靱帯同様、新たな気持ちでスタートを切る。

 ◆トミー・ジョン手術 損傷した肘の靱帯を切除し、他の部位から正常な腱(けん)を移植する手術。70年代に故フランク・ジョーブ博士によって考案され、当時ドジャースのトミー・ジョン投手が74年に初めて受けたことからこう呼ばれている。日本人投手ではレッドソックス松坂(現ソフトバンク)カブス藤川(現レンジャーズ)オリオールズ和田(現カブス)レッドソックス田沢らが渡米後に手術を受けた。