【シカゴ(米イリノイ州)17日(日本時間18日)=四竈衛】ドジャースが、ダルで「王手」-。ナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦は、ド軍がカブスに3戦連続の逆転劇で3連勝を飾り、1988年以来29年ぶりのワールドシリーズ出場にあと1勝とした。先発ダルビッシュ有投手(31)が7回途中まで6安打1失点1四球7奪三振と好投。今ポストシーズン2勝目を挙げた。なお、第4戦は18日(同19日)、同地でカ軍アリエッタ、ド軍ウッドの両先発で行われる。

 いつものマウンド上でなく、打席でダルビッシュがほえた。3-1と2点リードの6回表2死満塁。相手は、カ軍の快速セットアッパー、エドワーズ。安打を打てる確率は、極めて低い。ただ、ダルビッシュはあきらめていなかった。「あんな95~96マイル(約155キロ)のちょっとカットする特殊な球なんて打てるわけがない。四球か死球かなんか起こったらいいなと思って立ちました」。内角球も恐れずベースへ近づき、低いバントの構えで揺さぶった。

 そんな気概が伝わったのか、ポストシーズンでは40年ぶりとなる投手の押し出し四球をもぎ取り、リードを3点に広げた。「ストライクかなと思ったんですけど、すごくうれしかったですね」。バットを放り投げ、雄たけびを上げながら一塁へ向かった。

 本職では、力任せの勝負ではなく、大人の投球でカ軍打線をほんろうした。1回裏、2人目にソロを浴びたものの、その後は丁寧にストライクを先行させた。最速155キロとやや抑えめながら、カットボール、ツーシームでボールを動かし、バットの芯を外した。ロバーツ監督が「今夜のストーリーは、明らかにユウ・ダルビッシュだ。彼は相手を圧倒していたし、リズムもあった」と、ヒーローの筆頭に挙げる快投だった。

 球団史上初となる地区シリーズから無傷の6連勝で、29年ぶりのWシリーズ出場に王手をかけた。カーショー、ダルビッシュの「先発ビッグ2」に頼りきるわけでなく、ジャンセン、前田、モローら救援陣は過去3試合、10回2/3を2安打無失点。現段階でスキは見当たらない。それでも、ロバーツ監督は言った。「今は明日の試合に勝つためにどうすべきか、そこに専念するだけだ」。1年前、同じシカゴで流した悔し涙は、忘れていない。