カブスからフリーエージェント(FA)になった上原浩治投手(42)が28日、メジャー一本での現役続行を宣言した。終盤は故障にも苦しんだメジャー9年目を終えて25日に帰国。前日27日から都内のグラウンドで自主トレを開始し、この日も精力的に約3時間汗を流した。プロ20年目の来季に向けて「アメリカで契約できなければ辞める。もちろん、やる自信はある」と決意を表明した。
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今、自分が何をするべきか、上原は分かっている。帰国してから休養は1日だけ。「契約が決まってないとか関係ない。練習はしっかりやらないと。むこう(米国)で走りすぎて、少し下半身が張っているんで、今日は軽めにしときますけど」と言いながら、黙々と走りだした。約40分間のランニングを終えると、約30分間のキャッチボール。まだ5割以下の力加減だが、指先の感覚を確かめるように丁寧なスローイングで回転のいい球筋を披露。ウエートトレーニングもみっちりと行い、4時間近くの自主トレ2日目を終えた。
レッドソックスから移籍し、カブスとの1年契約が終わった。来年の4月3日で43歳になるが「年は関係ない。マウンドでどれだけ投げられるかが大事。最近はどの球団もベテランに厳しいけど、やれるかどうか分からない実績のない若手より、やれる自信がある」と即答した。今季はレギュラーシーズン49試合に登板。背中の痛みなどでプレーオフの出場登録選手から外れ、9月2日を最後に公式戦から遠ざかったが、練習は継続して来季に向けた準備を進めている。
メジャーを経験した日本人選手のほとんどが、日本球界に復帰してから引退している。だが、上原にそのつもりはない。「やっぱりメジャーは最高峰の舞台。そこでやり続けたいし、通用しなければ終わり。それにメジャーでダメだからといって日本に来ても、それで通用するほど日本の野球は甘くない」と断言した。「一応、今年は600万ドル(約6億9000万円)の契約をもらえた。それなりに評価してもらっていると思っている」。多くは話さなかったが、数球団が獲得に興味を示しているようだ。
現在の日本球界はポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦が主流になっている。上原にとっては、巨人時代にポスティングでの米国行きを拒否され、やっとたどり着いた憧れの舞台。それだけに、メジャーへのこだわりは強い。最高峰で戦い続ける“執念”は、誰にも負けはしない。【小島信行】