インド人初のプロ野球選手として注目を集め、16年に現役引退したリンク・シン元投手(29=元パイレーツ傘下)が、プロレス界に転身することが分かった。14日付の大リーグ公式サイトが伝えた。

 シンは、野球が普及していないインドで野球の経験はまったくなく、やり投げ選手だったが、08年に野球の人材発掘を目的としたインドのテレビ番組に出場したことがきっかけで、野球界に足を踏み入れた。番組は球速を競うコンテスト形式で、シンは87マイル(約140キロ)を記録し優勝。同じく優勝したディネッシ・パテルとともに渡米し、同年11月にパイレーツとマイナー契約を結んだ。このときのいきさつは「ミリオン・ダラー・アーム」のタイトルで映画化され、日本でも14年に公開された。

 マイナーでは実働5年間でルーキーリーグから上級1Aまで進み、通算85試合に登板、10勝6敗、防御率2・97。奮闘を続けたシンだったが、メジャー昇格は果たせず、14年の左肘手術などの影響で16年に引退。しかし、昨年4月にドバイで行われたWWEのトライアウトに参加し、コーチらの目に留まった。シンはWWEの公式サイトに「集中して強い気持ちを持ち続ければ、正しい方向に進むことができる。全力を尽くすつもりだ」と、プロレス転向への意気込みを語った。16日から米フロリダ州オーランドにあるWWEパフォーマンスセンターでトレーニング開始予定。身長191センチ、体重116キロの体格を武器に、プロレス界のスターを目指す。