マリナーズのイチロー外野手(44)が14日(日本時間15日)、ジャイアンツとのオープン戦で右ふくらはぎの張りを訴え、途中交代した。「1番左翼」でスタメン出場。1回表の守備に就いただけで、その裏の1打席目に代打を送られた。8日(同9日)の初練習から快調だった故障が少ない現役最年長野手のアクシデント。29日(同30日)の開幕戦に向けて急ブレーキとなった。

 1回表を終えたイチローは、右足をかばうような走り方で左翼の守備位置から戻った。ターナー通訳に自ら「交代」と告げると、一瞬、顔をしかめるようにしながらベンチへ座った。同通訳がすぐにサービス監督に状況を報告し、イチローをトレーナーらが囲んで数分間話し合った。その一方で場内アナウンスでは早々と代打が告げられた。マ軍の攻撃終了後には、三塁側ベンチ前にカートが到着。荷物を持ったイチローが乗り込むと、場内を1周してクラブハウスへ向かった。

 ナイターに向けて、イチローはいつもと変わらず、ハツラツと動いていた。サブグラウンドで行われた全体練習では、実戦形式の走塁練習に参加し、持ち前の軽快な走りを見せていた。試合前も、ルーティンのストレッチ、ダッシュなどを淡々とこなしていた。

 アクシデントが起こったとみられるのは1回表。守備位置へ向かう途中だった。通常は定位置直前まで全力疾走するものの、ベンチから数歩目のところで急に減速した。右ふくらはぎに触れるしぐさを見せるなど「異変」の一端をのぞかせた。味方の先発パクストンが3者三振に仕留めたため守備機会はなかったが、ベンチに戻る足取りは「軽快」からは懸け離れていた。

 マ軍広報は交代理由を「右ふくらはぎの張り」と発表。今後については15日(同16日)以降の経過次第との見解を示した。イチローは約30分後、カートに乗り、報道陣に手を振りながら駐車場へ向かい、自らの運転で帰宅の途に就いた。

 試合後、サービス監督は「大事をとった。それほど長くかかるとは思わない」と説明した。当初は15日(同16日)のアスレチックス戦にも出場する予定だったが、当面の日程は白紙となりそうだ。昨季までのメジャー17年間で故障者リスト入りは、09年WBCで優勝に貢献した後の開幕前、胃潰瘍による1度だけ。同年のシリーズ終盤には左ふくらはぎを痛め、16試合を欠場している。開幕戦まで残り2週間。詳細は不明だが、ペースダウンは避けられそうにない。【ピオリア(米アリゾナ州)=四竈衛】