【アナハイム(米カリフォルニア州)27日(日本時間28日)=斎藤庸裕、四竈衛】エンゼルス大谷翔平投手(23)が投打二刀流の厳しい現実に直面した。ヤンキース戦に「5番指名打者(DH)」で先発出場。2回の第1打席で開幕投手セベリーノから6日以来となる先制の4号本塁打を右翼に放った。だが、5回の第2打席でニゴロに倒れた際の走塁で左足を捻挫し、途中交代。今日28日(同29日午前10時7分開始予定)のヤンキース戦では先発田中との日本人対決が実現する見通しだったが、出場は厳しい状況となった。

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 大谷が左足首をひねった。5回の第2打席。低めのチェンジアップにタイミングが合わずバットを根元から折られた。ボテボテの二ゴロ。全力疾走の背番号17は、際どいタイミングで駆け込み、ベースを踏んだ際に内側にひねった。交錯した一塁手を気遣いながら、何食わぬ顔で小走りでベンチに戻った。だが、ソーシア監督は異変を見逃さない。「足を引きずっていた」。7回に代打を送られ、指名打者で先発した11試合目で初の途中交代となった。

 球団によると軽度の捻挫。試合中にチームドクターの診察やトレーナーの治療を受けて病院には行かなかった。だが、出場した試合後では初めて報道対応しなかった。ソーシア監督は大谷の今後について「1日1日状態を見ていく。明日、明後日も様子を見て考える」と話し、試合前に発表した5月1日(2日)のオリオールズ戦で先発登板について「分からない。影響がないことを願う」と慎重だった。状況からすれば、ヤンキース田中との日本人対決が見込まれる28日(同29日)の出場は厳しくなった。

 2回の第1打席ではメジャー屈指の速球派セベリーノから強烈な1発を放った。初球、2球目と外角を攻められ、カウント1ボール1ストライクからの内角の97マイル(約156・1キロ)を素早く体を回転させて捉えた。ライナー性の打球は右翼スタンドへ。今季、先発投手として大谷に次ぐ100・2マイル(約161・2キロ)をマークしたセベリーノを初対決で攻略。打者出場では5試合ぶりの打点で約4万人が詰めかけた球場を沸かせた。

 だが、好事魔多し。患部に赤いテーピングをした大谷は、試合後のクラブハウスで笑顔を見せたものの、歩くスピードは速足の大谷にしては遅かった。開幕から約1カ月。順調に駆け抜けてきたが、投打二刀流に挑戦し、全力疾走をモットーとする大谷だからこそのアクシデントに見舞われた。長丁場を考慮すれば無理する必要はない。小休止する機会かもしれない。