【アナハイム(米カリフォルニア州)14日(日本時間15日)=四竈衛】昨季世界一のアストロズが、エンゼルス大谷翔平投手(23)の「打者版」の事前分析を終え、実戦で本格テストに着手する。先発翌日となった同日、大谷は完全休養。15日(同16日)には「5番DH」でスタメン出場する見込みで、メジャー屈指のアストロズ先発陣との力勝負が見られそうだ。

 初手が肝心-。4月24日に投手として初対戦し、最速101マイル(約162・5キロ)をマークした大谷に対し、アストロズは打者としても最高レベルの警戒態勢で臨むことが分かった。この日の試合前、A・J・ヒンチ監督(44)が、大谷について言及。「投手としても打者としても研究を進めている」。投手大谷に対して、6回途中まで4得点と一定の結果を残した一方、打者大谷との初対決を前に、解析を進めてきたことを明かした。

 その上で「とても危険な打者だと思う。どこにでも放り込めるパワーがある」と、あらためて高く評価。ここまで打率3割4分8厘、5本塁打と今やエンゼルスの得点源となっている大谷を徹底マークする方針を示した。

 アストロズといえば、メジャー屈指のデータ量を生かした戦略でチーム再建に成功した。実際、昨年のWシリーズでは、ドジャースの若き主砲ベリンジャー対策として、内角低めのスライダー攻めを徹底。28打数4安打(打率1割4分3厘)17三振と、ほぼ完璧に封じ込め、打線を寸断した。ア・リーグ同地区の宿敵でもあるアストロズとエンゼルスの場合、残り15試合の直接対決があるだけに、点差次第では守備シフトを含め、大胆な実地テストが行われる可能性もある。

 大谷の前に立ちはだかるのは、15日が防御率1・43(リーグ2位)のコール、さらに16日には同1・21(同1位)で11年サイ・ヤング賞のバーランダー。ともに時速155キロ超の快速球を操る剛腕だけに、開幕以来、快調に滑り出した大谷にとっても、格好の力試しとなりそう。力と頭脳を駆使して大谷封じを実践しようとする世界一集団に、大谷はどう立ち向かうのだろうか?

 ◆ジャスティン・バーランダー 現在防御率メジャートップのエース右腕。06年にタイガースで新人王を獲得し、11年には投手4冠などタイトルを総なめしてMVPとサイ・ヤング賞を受賞。球宴6度選出、最多勝2度、奪三振王4度。メジャー14年で通算192勝116敗、防御率3・41。今季4勝2敗、防御率1・21。

 ◆ゲリット・コール 昨オフにパイレーツから移籍した速球派右腕。最速160キロ超えの直球、スライダー、カーブを武器に三振の山を築き、今季リーグ最多86奪三振。現在4勝1敗で防御率はバーランダーに次ぐ1・43。13年にデビューし、15年には19勝を挙げ球宴に選出された。6年間で通算63勝43敗、防御率3・36。