ヤンキース田中将大投手(29)が24日(日本時間25日)、レイズ戦で昨年4月以来メジャー3度目の完封で、メジャー通算60勝目となる8勝目を挙げた。制球力がさえ渡り、今季最多タイの9奪三振。2つの併殺打を含むゴロアウトは14で、安打以外で打球を外野に飛ばされたのは2度。打者29人、105球の快投だった。メジャー移籍5年目、悲願の世界一へ突き進む。

 無表情を貫く田中が珍しくぶぜんとした。1回2死、打者はレイズの3番バウアーズ。強打の左打者への4球目、外角低めのピンポイントにスプリットを収めた。判定はボール。「ブルペンの時点である程度『今日はこんな感じ』というのはつかめていた。特に慌てるとかもなかった」。カウント3-1となっても動じず、直球で全く同じ場所にピントを合わせた。根負けした球審が右手を上げフルカウントとし、後は膝元へ変化球を沈めるだけだった。

 唯一のピンチで制球力はさらに洗練された。5回無死一、二塁で、2日前に球団史上初のサヨナラ満塁弾を放った6番ロバートソンを迎えた。ベース板の角を丹念に突き、平行カウントからの8球目。意識してスライダーの曲がり出しを目いっぱい遅くした。外角低めのストライクゾーンをわずかにかすめてから、外へ大きく逃がす軌道で空振りを奪った。「制球が良かったからすべていい循環になった」と振り返った。

 先発陣はエースのセベリーノが不調で、ヤ軍の数少ない死角だ。ストライク率70・5%、打者29人に対し初球ストライク22人という安定感を示した田中の存在は、世界一を狙う上で欠かせない。ブーン監督は「彼は重要な存在だ。昨季もこの時期から調子を上げ、ポストシーズンで素晴らしかった。今季も同じであってくれれば」と揺るがぬ信頼を口にした。

 ▼田中が今季初完封で8勝目。田中の完封勝ちは17年4月27日レッドソックス戦以来、大リーグ3度目。日本人投手で通算3度の完封勝利は、野茂9度、黒田5度に次いで3人目。また通算60勝に到達。日本人投手で60勝以上は野茂123勝、黒田79勝、岩隈63勝に次いで4人目。