「5番DH」でスタメン出場したエンゼルス大谷翔平投手(24)が、日本人メジャー選手の1年目で最多となる19号本塁打を放った。同点の3回1死一、二塁、左腕ロドンから右中間席へ勝ち越し3ラン。06年にマリナーズ城島健司がマークした18本を抜く節目の1発を、3試合連発で決めた。右肘の靱帯(じんたい)に新たな損傷が見つかり球団は手術を勧めているが、残るシーズンも出場したい意欲も示した。「打者大谷」を全うしてメジャー1年目を締めくくる。

派手に先人たちを抜き去った。メジャー1年目の新記録となる大谷の19号は3回。左腕ロドンのボール気味の内角直球を右手1本のフォロースルーで射抜き、角度30度で右中間へ運んだ。「ちょっと詰まっていた」。ホワイトソックスの中堅手はホームランキャッチを得意とする売り出し中のエンゲル。フェンス際の攻防になった。

二塁ベース付近で半信半疑で行方を見つめた。「風次第かなと思って走っていたので、結局入ってくれてラッキーだった」。もぎ取ろうとジャンプし、自分のグラブまでスタンドに入ったエンゲルは、地面をたたいて悔しがった。自身メジャー2度目の3戦連発で節目をクリア。歩くようにホームインして笑った。

右肘に新たな故障が見つかり、トミー・ジョン手術か否かの渦中にある。方針は10日(日本時間11日)以降にエプラーGMと話し決定する。ただ大谷の中で決めていることがある。「打者大谷」をやり切ってメジャー1年目を終える。

「このままシーズンをしっかり最後まで、自分らしくプレーしたい。今のところ打者として、十分仕事ができる」

自負と決意の詰まった新記録だった。

地道な努力を積み重ねた19本だ。フォームが独特な投手に苦しめられることもあったが「ほとんど初めての対戦相手。毎回勉強」と受け入れた。試合前のクラブハウスでペンを手にとり、対戦投手の映像を繰り返し見て、気付いた点を自前のノートに書き記すようにした。他の選手は球団支給のiPad(アイパッド)で映像を見て、頭にすり込むだけ。“学習帳”を厚くして結果につなげた。

数字では分が悪い左腕、しかも初対戦から決めた。「その他の打席でいろいろ反省点はある。また明日につなげていきたい」。変わらぬ姿勢で、残るシーズンを全うする。【斎藤庸裕】

▼大谷が今季19号を放ち、1年目の日本選手では06年城島(マリナーズ=18本)を上回る最多本塁打となった。1年目の条件を外しても日本選手のシーズン19本以上は松井秀(5度)に次ぎ2人目で8年ぶり。4月3~6日に次いで今季2度目の3試合連続本塁打となった。日本選手の3戦連発は最長タイ。通算2度はヤンキース時代の04、07年にマークした松井秀に並び、シーズン2度は初めて。すべてビジターでの3戦連発や、3戦連発で4本は今回の大谷が初めて。