マリナーズは11日(日本時間12日)、昨秋に右肩手術を受けマイナー契約を結んでいた岩隈久志投手(37)が今季限りで退団すると発表した。岩隈は今季中のメジャー復帰を目指しマイナーでリハビリ登板も行っていたが、球団から今季中の起用はないと通達され退団を決意。日本球界復帰も視野に、来季以降も現役続行を目指す考えを明かした。古巣の楽天が早速ラブコールを送り、国内復帰となれば最有力の候補となる。

岩隈が7年間過ごしたマリナーズに別れを告げ、日本復帰を模索することが濃厚となった。13年にサイ・ヤング賞候補、15年にはノーヒットノーランを達成した功労者に対し、球団からはコーチ打診を受けた。しかし「実戦に投げられるようなところまで状態が上がってきたし、やっと自分の感覚を取り戻したようになってきた」と現役への強いこだわりは捨てられなかった。

マリナーズでのプレー続行が無理なら「日本の球界も視野に入れながら、まだ現役を続けていきたい」と決意。家族にも相談し「今後も支えていきたい」と後押しされたという。一進一退が続いていた右肩の状態は良化。5日のマイナー登板では、球速も88マイル(約141・6キロ)まで戻っている。「寂しく、悔しい気持ちもあるが、7年で貴重な体験ができた」。体調に問題がなければ、世界屈指の制球術を発揮できる。

日本で腕を振るうなら、古巣の楽天が最有力だ。球団創設の苦しい時代から支え続けたエース。海を渡った後も良好な関係を維持している。

立花球団社長が「日本でプレーされるなら、しっかり調査させていただく。個人的には迎える準備があると思っている。イーグルスの歴史をつくった素晴らしい選手の1人だと思っている」と即座に反応するのは当然。井上オーナー代行も「岩隈選手が来てから、東北、仙台も盛り上がった。戻って来てくれるとすごくうれしい。個人的にも、いちオーナー代行としても、仙台に戻って来てほしい気持ちはあります」と呼応するなど、球団内の意見は一致している。

石井GMを迎え立て直しを図る楽天。若い選手が多く、経験豊富な岩隈の復帰が実現すればチームに大きな芯が入る。仙台から羽ばたき、世界を極めた鶴のごとく美しいフォームが舞い戻るか。