【シアトル(米ワシントン州)29日(日本時間30日)=斎藤庸裕】マリナーズ菊池雄星投手(27)は、楽しんで腕を振った。

本拠地シアトルでの初登板。真っさらなマウンドに上がって、実感した。「アメリカに来たんだ、ここで結果を出すんだ」。立ちはだかったのは昨年の覇者レッドソックス。それでもプレッシャーはなかった。むしろ「ずっと待ち遠しかった。1球1球、楽しく投げられた」。強敵相手に投げる。メジャー挑戦の醍醐味(だいごみ)を感じながら、86球、腕を振った。

6回4安打3失点。世界一打線を相手に気後れすることなく攻めた。「レッドソックス相手にどれだけのピッチングができるか」。1回、昨季の打点王3番マルティネスへの2球目。94・3マイル(約151・8キロ)の内角直球で詰まらせ、右飛に打ち取った。「(バットを)差し込ませる球も多かった。そこは本当に自信にしていい」。直球に加え、膝元に食い込むスライダーで空振りも奪った。「指にかかったボールなら抑えられる」。強敵相手に確かな手応えを得た。

収穫だけでなく、メジャーのレベルの高さも実感した。内角球で2打席抑えたマルティネスを、6回2死走者なしで迎えた3打席目。やや甘く入った直球を捉えられ、特大の本塁打とされた。「力勝負にいってしまった。中に入ったボールは逃してくれない。個々の強さを改めて感じた」。反省点もはっきりと見えた。

9回に逆転され、メジャー初勝利はならなかったが、高校の頃から憧れてきたメジャーリーグのマウンド。第1球を投じる前、左手でそっとプレートを触った。「始まるんだという思いがより一層、強くなった」。さまざまな感情が交錯した米国デビューとなった。