【ヒューストン(米テキサス州)7日(日本時間8日)=四竈衛】マリナーズ菊池雄星投手(28)がアストロズ戦に先発、11年サイ・ヤング賞のジャスティン・バーランダー投手(36)と渡り合う力投を見せた。

強打のア軍は過去2戦で11失点と打ち込まれていたが、6回途中1失点。1日に自身3度目のノーヒッターを達成した最強右腕を相手に収穫十分の92球だった。

メジャー29試合目。約5カ月前とは思考が変わっていた。「消極的になったら打たれる。かわせる相手ではない」。理想は空振り。一方で、カウントを優位にするすべも身に付けていた。

ア軍の3番ブレグマンに対し、第1打席は2ボールから内角スライダーでファウル。第2打席も、2ボール1ストライクから膝元へのスライダーでファウル。狙い通りに打たせカウントを整えていった。だが、6回の第3打席では「ファウルを打たせよう」と狙ったスライダーを左翼上段へ運ばれた。

同じ手法は通用しない。それがメジャー。「いい時にいい結果を出す確率は高い。どっちに転ぶかの状態でいかに試合を作れるか。このリーグで戦って行く中で大事」。力任せでもなく、逃げるつもりもない。高い次元の駆け引きをしながら投げられたことこそ、菊池が成長した証しだ。

残り登板予定は3試合。「やられっぱなしだった相手にこういう投球ができた。自信にしていい部分もあるかな」。剛腕と強打線を倒すことこそメジャーへ挑戦した理由。「ああいう投手になりたい」と感じたバーランダーとの差は何か。新たな目標が見えてきた。