米大リーグのオークランド・アスレチックスが29日(日本時間30日)、昨季限りで社会人野球バイタルネット(新潟)を退社した右腕冨岡聖平投手(23)とのマイナー契約締結を発表した。

昨年11月9日に都内で行われた投手限定入団テストで、自己最速95マイル(約153キロ)の切れ味鋭い直球を披露。スカウト陣の高評価を得た。キャンプ地アリゾナに向け、2月中にも出発する予定だ。

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冨岡が、サクセスストーリーの扉を開いた。メジャー球団へのカギは、運命的に手にした。「きっかけは、テスト生募集の記事でした。小学生の頃の夢はメジャーリーガーになること。挑戦するなら今しかないと思った」。バイタルネットを退社し、BC・新潟からNPB入りを目指そうと決意したところだったが、契約目前だった新潟側も挑戦に背中を押してくれた。明治神宮外苑室内球技場での入団テストで、自己最速の153キロをマーク。スカウト陣を驚かせた。

米国仕様の硬いマウンドも、実力を引き出してくれた。「自分は踏み出す足をつく場所が、えぐれてしまっているとダメなんです」。地方球場などは土が軟らかい球場も多い。「すごく投げやすかったし、米国の球場のマウンドに近い形を作ってくれたチームスタッフや球場担当者の方にも感謝です」。28選手中27番目の登板だっただけに、会場が違っていれば、メジャー適性を示せなかった可能性もある。

桜井(富山)時代の高3夏に県大会準優勝。東洋大ではソフトバンク甲斐野やDeNA上茶谷らの1学年上で、東都通算6試合登板で1勝1敗。社会人も含めて、全国舞台の経験はない。「正直、どうやったらメジャー昇格出来るのか分からない。まずはマイナーで1試合、1球を大事に。日本のプロ野球で活躍してからメジャー行きが当たり前だが、自分が既定路線を少しでも変えたい」。全国的には無名な右腕が、海を渡って夢をかなえる。

◆冨岡聖平(とみおか・しょうへい)1996年(平8)2月29日生まれ、富山・黒部市出身。田家小3年時に田家イーグルスで野球を始め、鷹施中では軟式野球部所属。桜井では1年秋からベンチ入りし、高3夏に県準V。東洋大を経て、バイタルネット入社。180センチ、89キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹2人。血液型O。特技はイカ釣り。