ドジャース大谷翔平投手が、4月15日の「ジャッキー・ロビンソン・デー」で5年ぶり投手に専念し6回2安打1失点。3年ぶり10奪三振で2勝目をマークしました。その時点で規定投球回に到達し、何とリーグトップの防御率0・50、同1位の被打率1割1分3厘、WHIP0.72と素晴らしい成績を収めています。
それによって、昨年ナ・リーグで同賞受賞のポール・スキーンズ(パイレーツ)を筆頭に、同僚の山本由伸投手らと早くもサイ・ヤング賞候補に浮上しています。ところが、ここに来て開幕前は全く話題にすら上らなかった意外なライバルが出現。パドレスの若き剛腕クローザー、メーソン・ミラーです。
2023年アスレチックスでデビューし、昨年7月にパドレス移籍。何と最速104.5マイル(約167キロ)の剛速球を武器に驚異的な奪三振率を誇り、「The Reaper(死神)」の愛称でリスペクトされる絶対的クローザー。今年3月のWBC米国代表にも抑え役として選出されました。
何しろ、今シーズン開幕から快投を続け、4月16日時点で9試合に登板。合計9回1/3でわずか1安打無失点。特筆すべきは30打者に対し23奪三振、驚異の奪三振率22.18をマーク。リリーフ投手ながら、一躍サイ・ヤング賞候補に名乗りを上げました。
1956年にサイ・ヤング賞が制定されて以来、70年間において救援投手で同賞に輝いたのは9人しかいません。最後は03年ドジャースの守護神エリック・ガニエで、55セーブ機会全て成功し、防御率1.20、82回1/3で137奪三振と圧倒的な成績を残しました。
それでも、サイ・ヤング賞に救援投手がほとんど選ばれない理由として、先発投手が180~200イニング投げるのに対し、救援投手はせいぜい60~70回程度。つまり、全米野球記者協会の記者たちはゲームの支配力とともに、持続性というものを重視するからです。
さて、ここから本題に入りますが、以前コラムでも書いたように、大谷はバリー・ボンズ(ジャイアンツ)の7度に次ぐ4度のMVPを獲得。しかし、もし伝説の本塁打王ベーブ・ルースの時代にMVPの表彰があったら、おそらくルースは10回前後MVPに輝いたと言われています。
また、もしルースの時代にサイ・ヤング賞があったら、1916年レッドソックス時代に何と23勝12敗、しかも防御率1.75、最高勝率の両タイトルを獲得。その年の最優秀投手としてサイ・ヤング賞にも、間違いなく輝いたと言われています。
とにかく、当時は大リーグ最高の左腕投手と言われ、通算94勝をマーク。ワールドシリーズでも29回1/3の連続イニング無失点記録を樹立するなど大活躍。もし20年ヤンキース移籍後も打者に専念せず投手を続けていたら、投手の実績だけで十分に野球殿堂入りしたと言われます。
それだけに元祖二刀流ルースを超えるほどの活躍を見せる大谷には、投手として最高の栄誉であるサイ・ヤング賞獲得も期待したいところです。今シーズン大谷のピッチングを見ると、世界最高の野球選手としてMVPだけでなく、サイ・ヤング賞も取りたい気持ちが十分に伝わって来ます。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




