近鉄やパドレスなどで活躍した大塚晶文氏(48=現中日駐米スカウト)の長男、虎之介外野手(22=サンディエゴ大3年)は指名されなかったものの11日(日本時間12日)、電話取材に応じ、来季のドラフトを目指す考えを明かした。

コロナ禍の影響で、今季のドラフトが例年の40巡目から5巡目までに縮小されたこともあり、虎之介に覚悟はできていた。高校時代から俊足好打の外野手として注目され、複数の大学から勧誘された結果、地元の同大へ進学。最終学年の来季は、大事なシーズンとなる。「今季は短く、実力を見せられなかった。来季はチームも強いし、いいシーズンを送りたいです」。現在は外野手だが、幼少期から慣れ親しんだ内野守備にも再挑戦。ユーティリティー選手として幅を広げる考えだ。

父晶文氏も「まだ足りない部分があるし、体もできていない」と、冷静かつ厳しい視線を向ける。その一方で「チャンスはあると思う。あと1年でプロから認められるようにどこまで磨けるか」と、今後の伸びしろに期待を寄せる。

チームでの活動が制限されていた期間は、トレーバー・ホフマン(元パドレス)、デーブ・ロバーツ(ドジャース監督)、ブレット・ブーン(元マリナーズ)ら元メジャーリーガーを父に持つ、同年代の息子たちと一緒に近郊でトレーニングを継続。今週からは、同地で行われるサマー・リーグに参加し、実戦練習も再開する。

来年6月のドラフトで指名されれば、日本人史上初となる親子2代でのメジャーリーガー誕生への第1歩を踏み出すことになる。晩年、故障と闘い続けた父の姿は忘れていない。「絶対にギブアップしない人。すごい人だと思います」。尊敬する父の背中を追い、虎之介が新たなスタートを切る。【四竈衛】

◆大塚虎之介(おおつか・とらのすけ)1997年(平9)12月16日宮城県生まれ。04年、父の米移籍に伴い、サンディエゴへ移住。加藤豪将内野手(マーリンズ)らの母校でもある名門ランチョ・バーナード高からサンディエゴ大へ進学。19年には大学リーグ最高峰のケープゴッド・リーグに参加。175センチ、82キロ。右投げ左打ち。