【デトロイト(米ミシガン州)18日(日本時間19日)=四竈衛】これぞ、二刀流の真骨頂-。エンゼルス大谷翔平投手(27)が、タイガース戦に「1番投手」で出場し、日本人選手として初の大台となる40本塁打を放ち、投げては自己最長の8回を6安打1失点と好投し、7連勝で今季8勝目(1敗)を挙げた。それでも、大谷は「まだ100ではない」と、さらにレベルアップする余地があるとの考えを明かした。

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日本人初の大台となる40号に到達しても、最速98・8マイル(約159キロ)を計測して8勝目を挙げても、試合後の大谷の表情は、いつもとまったく変わらなかった。右翼席へ突き刺さる弾丸ライナーの本塁打、わずか90球で自己最長の8回を投げ終えた内容を淡々と振り返りつつ、ここまでの道のりと現状について、真顔で言った。

「個人的には、まだリハビリの中というか、体的にも上に行けるんじゃないかと思っているので。まだまだ改善するところは、これからもあると思います」。

メジャー1年目を終えた18年10月1日、右肘のトミー・ジョン手術を受けた。翌19年オフには左ヒザの手術にも踏み切った。その結果、昨季は実戦で投げられず、打撃でもフォームを崩した。迎えた今季、体調面での不安は消えた。だが、本来の感覚を取り戻していたわけではなかった。6勝目を挙げた4日の登板後には、開幕直後の時期について「最初の頃は怖さもありましたし、それがTJ(トミー・ジョン手術)の難しさというのを実戦に入って感じました」と、本音を口にした。さらに、安定し始めた理由として「患部がほぐれてきた」とも言った。

今季は順調に本塁打を量産し、投打両部門で球宴に選出されるほど活躍したこともあり、周囲の期待値はどこまでも上がり続けた。その裏で、現実の大谷は、自らの体と向き合い、人知れずもがき続け、結果につなげてきた。二刀流の調整で、しかもリハビリとなれば、過去にマニュアルもない。トレーニングも必要なら休養も不可欠となる。

「序盤よりも(疲労の)回復だったり、ある程度短いスパンで戻って来ることが多くなっているので、それはいいことだと思いますけど、まだまだ100ではないかなと。リカバリーも含めて、もっともっと気をつけて体調管理をしていく必要があると思います」。

まだリハビリの中で、まだ100ではない。それでも、特大アーチをかけ、時速160キロ前後の快速球を操る。常に貪欲な向上心を持ち続ける大谷が、今後、100になった時、一体、どんなパフォーマンスを披露するのだろうか。